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いよいよ富士山噴火に備える保険デリバティブが登場!
● 火山の大規模噴火によるリスク
   気象庁によると、日本には全世界の活火山の約7%にあたる110の火山が全国に分布しており(北方領土や海底火山を含む)、このうち日本国民が直接被害を受ける可能性のある火山は約80と言われています。また、日本列島の地盤は平成23年3月11日の東日本大震災を契機に大きく変化し、火山噴火を誘発する可能性が高まったとも言われており、「今後数年間は警戒が必要」とする研究結果もあります。平成28年に入ってからは活断層による熊本地震も発生し、他の地域(活断層)や火山への影響を懸念する声もあります。
  火山の大規模噴火が発生すると、被害は物的損害にとどまらず、風評被害による観光業の収益減少等にまでおよび、噴火が企業経営に多大な被害をもたらす懸念が強まります。
  (参照:今週のトピックス No.2744「火山噴火時の企業のリスクマネジメント」
  このような状況の中で、企業が噴火の発生によって被る収益減少や噴石処理などの費用の損害に備えることを目的に、気象庁が発表する噴火警戒レベル等の噴火関連情報が一定要件を満たした場合に、事前に定めた一定金額が支払われる「噴火デリバティブ」を損保ジャパン日本興亜が開発しました。第一弾は、富士山を対象としていますが、今後対象となる火山が順次拡大される予定です。
● ARTとは?
  最近は、特殊なリスクや特定の業種を対象とした保険商品等が多様化していますが、その手法の一つにART(Alternative Risk Transfer:代替的リスク移転)があります。これは、新しい手法を用いたリスクの移転であり、従来の伝統的な「保険」とは異なる以下の3つの特徴があります。@保険会社による損害額の確認を必要としないこと、A実際の損害額ではなく、事前に約定した補償金が支払われること、B保険会社に移転されるリスクが限定的であること。今回発売された噴火デリバティブも、この1種です。
  <富士山噴火デリバティブの概要>
  富士山を対象にした噴火デリバティブは、気象庁が、『地震・火山月報(防災編)』により、富士山について噴火警戒レベル3以上および噴火の発生を発表した場合に、事前に定めた一定金額が支払われる金融派生商品。物的損害を伴わない場合であっても発生する収益減少や費用損害への備えとして活用できる。また、損害保険商品と異なり、損害査定が不要であることから、事前に定めた一定金額を迅速に受け取れるため、企業の当座の運転資金としても活用でき、BCP(事業継続計画)対策としても有効である。
  【契約例】
  (1)対象期間:1年間
  (2)噴火が観測された場合の受取金額:1億円
  (3)オプション料:300万円
2016.06.23
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