>  今週のトピックス >  No.3225
上手に寄附してお金を世の中のために役立てよう
  東北地方で起こった東日本大震災の記憶が未だ色あせていないにも関わらず、またもや2016年4月、熊本県において震度7を記録する大規模な地震が起こってしまいました。
  そして、より多くの人が被災者の方たちの役に立ちたいと、現地に出向いてボランティア活動を行ったり、さまざまな窓口を通してお金を寄附しています。
  とはいえ、寄附をしたことで満足してしまう人がほとんどです。誰かのために役に立ちたいと願いをこめたお金だからこそ、寄附金がどのように使われるのかも知っておくと良いでしょう。
● 義援金と支援金の違いとは?
  寄附金の窓口では「○○義援金」「□□支援金」という言葉を使っていることに気付かれた人は多いのではないでしょうか? この「義援金」と「支援金」の名称の違いこそが大まかなお金の使われ方を知る手掛かりになるのです。
  義援金とは、基本的には被災者への直接支援のためのお金であり、日本赤十字社や共同募金会、被災自治体、新聞社やテレビ局といったマスコミなどが受け皿となり、一括してお金を集めます。そして集めたお金の100%が被災者の見舞金等になります。
  ただし、寄附金額は公表されている数字を信用するしかありませんし、この制度に関わる被災自治体等の人件費は税金が使われるということは忘れてはなりません。
  一方の支援金というのは、基本的には被災者のための寄付金ですが、直接被災者の手に渡るのではなく、被災地の実情に合わせてNPOやNGOなどの支援団体が柔軟にお金を使えるようになっています。このため、支援金の受け皿となっている団体が何を支援するのかを知っておくと、自分の寄附金が誰にどのように使われるのかを把握することができます。具体的には、医療、食事、物資、メンタルケアなどに支援金は利用されます。
● 寄附金は寄附金控除(税額控除)の対象になる
  寄附をすると税金が安くなることは御存じだと思います。とはいえ、寄贈先のすべての団体が寄附金控除の対象になる訳ではありません。寄附金控除を目当てに寄附をすることはないかもしれませんが、本来ならば受けられる控除が受けられなくなってしまうことも考えられますので、受け皿となっている団体についても知っておくことは必要です。
  東日本大震災への指定ボランティア団体へ寄附した場合の計算式は下記の通りです。
●個人が寄附した場合、次の@かAのいずれかを選択する
  @所得控除:寄附金額(総所得金額等の80%を限度)−2,000円
  A税額控除:(寄附金額(総所得金額等の80%を限度)−2,000円)×40%
  ※所得税額の25%を限度とする
●法人が寄附した場合は全額損金算入
  (今週のトピックスNo.3199を参照)
  お金を送る側としては社会貢献に役立つだけでなく、税金の控除が受けられるなどの大きなメリットがある寄附行為。でも、一番大切なことは、被災者や支援する人たちに寄り添い、心の交流を続けることに大きな意義があるのです。
  自らできる社会貢献の一つとして、寄附は大いに役に立ちます。
編集部注:平成28年熊本地震で日本赤十字社・共同募金会・熊本県が募集した義援金に対して、5月2日に約7億5,000万円、6月7日に約130億円を被災者に配分することが決定された。配分の累計額は6月3日時点の義援金総額の約83.2%にあたる(熊本県HPより)。
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2016.06.27
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