> 今週のトピックス > No.3238 |
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改めて考える130万円と103万円の壁
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パート労働をしている方(主に女性)からの質問で、いくら以上の収入があると税金がかかるのか、健康保険の被扶養者から抜けてしまうのか等の内容は非常に多いです。いわゆる「パートの壁」といわれ、「103万円の壁」と「130万円の壁」の2つがあるのですが、今回は、この壁について詳しく見ていきたいと思います。
![]() ● 「103万円の壁」=パート労働の非課税限度額について
先ず「103万円の壁」ですが、これは税金の壁です。
所得税(国税)については、給与所得控除の65万円と基礎控除の38万円の合計額までは税金を掛けないことになっており、この103万円を超えると超えた分(課税所得)に対して、5.105%の所得税を払うことになります。 一方、住民税(地方税)には別の基準があります。「均等割」と所得に応じてかかる「所得割」の両方を合わせて住民税なのですが、それぞれの基準は以下のとおりです。
![]() ● 配偶者控除等について
次に、税法によって妻に認められている「配偶者控除」の適用条件は、妻の所得が38万円以下となっています。よって、65万円の給与所得控除を加えると、103万円になり、103万円以内のパート収入であれば、夫の税申告の際に配偶者控除の適用も受けられることになります。
さらに、夫の給与に配偶者控除の適用者がいる場合には家族手当として5千円〜2万円程度(会社の就業規則等による)を支給しているケースは多いですから、この手当がなくならないように就業調整をしている実態もあります。 ![]() ● 「130万円の壁」=健康保険の被扶養者になる収入限度額について
そして、健康保険の被扶養者及び国民年金の第3号被保険者については、年収が130万円未満(健康保険加入者の1/2未満であること)となっていますので、上記の税金の基準と間違わないことが大切です。
![]() 国民健康保険料(税)については、市区町村により保険料(税)額は異なりますが、東京23区の場合では、「均等割額」と「所得割額」を払います。 ☆年間保険料は、(1)と(2)と(3)の合計です。
![]() ![]() ● 今後はどうなるか
今年の10月からは、短時間労働者への社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用拡大が実施されることになっており、「130万円の壁」が「106万円(月額8.8万円)」に下がります。
ただし、その他の条件として、1週間の所定労働時間が20時間以上で、雇用期間が1年以上の見込みがあり、501人以上の会社で働く人が対象となりますので、約25万人程度の見込みです。同じ条件で働いても501人未満の会社に勤める人は対象になっていないのが問題ですが、早期に企業規模の条件等の変更が必要なのではないかと、思います。 それでも、手取り額が減ることを嫌い、年収を抑えるために労働時間を調整するパートの女性は少なくないので、パートに労働力を頼る企業では人手不足が深刻化する恐れがあるとも指摘されています。 他にも女性の勤労意欲を阻んでいる、専業主婦世帯を優遇した配偶者控除の見直しなどは進んでおらず、政府はより抜本的な改革を求められる可能性が今後はあるものと思われます。 ![]()
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2016.07.21 |
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