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国民年金の保険料納付猶予制度、49歳まで利用可能に
● 1か月1万6,260円の保険料が払えなかったら…
  平成28年度の国民年金保険料は、1か月あたり1万6,260円となっている。年金制度自体への不信感から納付していないという人もいる一方で、経済的に厳しくなってしまい納付できなくなった人も多い。国民年金の保険料納付率は、この4年ほどの間で少しずつ改善してきているものの、平成27年度の納付率は前年度より0.3ポイント増の63.4%とまだまだ低い状況だ。
  急に失業したり、トラブルにあったりして、保険料を納めることが難しい場合もあるかもしれないが、そのような場合には絶対に未納のままにしないで、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行ってほしい。保険料の免除や納付猶予になった期間は、年金の受給資格期間(25年間)に算入されメリットは大きいから、手間を惜しまないようにしたい。平成28年7月より、納付猶予の対象となる年齢が拡大されたので制度の概要とあわせて紹介したいと思う。
● 納付猶予制度の対象が「30歳未満」から「50歳未満」へ
  保険料免除制度とは、所得が少なく、本人・世帯主・配偶者それぞれの前年所得が一定額以下の場合や、失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人が申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が免除になる。免除される額は所得によって異なり、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類がある。例えば全額免除の場合は、前年所得が次の計算式で計算した金額の範囲内であることが要件となる。
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
  一方、保険料納付猶予制度とは、本人・配偶者それぞれの前年所得が一定額以下の場合や、失業した場合など、国民年金保険料を納めることが一時的に困難な場合は、本人が申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が猶予される。所得についての要件は、全額免除の所得基準と同じである。
  なお、この制度の対象者はこれまで20歳から30歳未満であったが、平成28年7月から50歳未満まで拡大され、利用しやすくなった。
  これらの手続きに関しては、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ申請書を提出することになるので、まずは窓口に行って相談してみることから始めたい。その際には必ず添付書類として、国民年金手帳または基礎年金番号通知書のほか、所得を証明する書類が必要になるので覚えておきたい。
※ 1月から6月までに申請する場合は前々年所得が対象。
参照  : 日本年金機構「保険料を納めることが、経済的に難しいとき」
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2016.07.25
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