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平成28年分の路線価は8年ぶりに上昇
● 標準宅地の前年比の変動率の平均は+0.2%
  全国の国税局・税務署において7月1日、相続税や贈与税の土地等の課税評価額の基準となる平成28年分の路線価及び評価倍率が公表された。今年1月1日時点の全国約32万8千地点(継続地点)における標準宅地の前年比の変動率の平均は、+0.2%(昨年▲0.4%)とわずかながら上向き、8年ぶりの上昇となった。
  都道府県別の路線価をみると、標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値の上昇率が「5%未満」の都道府県は、昨年分の1都2府7県の計10都府県から1都2府11県の計14都府県に増えた。下落率が「5%未満」の都道府県は昨年の35道府県から33道府県に減少し、下落率が「5%以上」の都道府県は昨年に引き続きゼロとなった。ちなみに、東京は+2.9%(前年分+2.1%)、大阪は+1.0%(同+0.5%)。
  一方、都道府県庁所在都市の最高路線価が上昇した都市は25都市(昨年21都市)、横ばいは17都市(同14都市)、下落は5都市(同12都市)に減少。このうち上昇率「5%以上」は15都市(同10都市)に、また、上昇率「5%未満」は10都市(同11都市)だった。
  上昇要因には、金融緩和等の後押しもあり不動産向け投資が拡大したことや、訪日外国人の増加を見込んだ店舗・ホテル需要の高まりなどがある。
● 路線価日本一は31年連続で東京・銀座「鳩居堂前」
  都道府県庁所在都市の最高路線価では、1位は東京・中央区銀座5丁目の「銀座中央通り」で、1平方メートル当たりの路線価は前年から18.7%上昇の3,200万円となった。以下、大阪・北区角田町の「御堂筋」1,016万円(増減率+22.1%)、名古屋市中村区名駅1丁目「名駅通り」840万円(同+14.1%)、横浜市西区南幸1丁目の「横浜駅西口バスターミナル前通り」781万円(同+9.5%)と続く。
  路線価日本一は、31年連続1位となる東京・銀座「鳩居堂前」(1平米3,200万円)で、A4サイズ1枚当たり約200万円となる。
● 原発事故に伴う被災区域は「ゼロ」評価
  なお、平成28年1月1日現在において、東日本大震災に伴う原発事故に伴い、(1)帰還困難区域、(2)居住制限区域、(3)「避難指示解除準備区域」に設定されていた区域内にある土地等については、路線価等を定めることが困難なことから、昨年分と同様に、相続税、贈与税の申告に当たり、「ゼロ」評価として差し支えないとされている。
  また、4月に熊本県を中心に発生した熊本地震で被災した財産の評価について、地震発生前(平成28年4月13日以前)に相続等又は贈与により取得した財産は、地震発生前の価額(課税時期の価額)で評価することから、平成28年分路線価等に基づき評価を行い、発生後(平成28年4月14日以後)のものは相続等又は贈与により財産を取得した時の被害状況に応じて個別に評価することとされている。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2016.07.25
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