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保険業法(保険募集に関する規制)
  保険業法は随時必要な改正が加えられていますが、その中で保険募集に関する規制について以下概要をまとめます。
1) 保険募集人に関する制限等
   ●  生命保険募集人は、内閣総理大臣(金融庁長官委任)の登録を受けなければなりません。
(所定の研修履修と生命保険協会が実施する一般課程試験の合格により一定水準の知識・能力が認められる者を登録申請します)
   保険募集人とは、保険会社のために保険契約の締結の代理または媒介を行うものをいいます。また保険会社から独立して媒介を行う保険仲立人も含まれます。
(保険募集の際は、所属保険会社等および募集人の商号・名称または氏名の他に、契約締結の「代理」をするのか「媒介」をするのかの別の権限明示が必要です)
   生命保険募集人は、原則として、複数の生命保険会社の委託を受けて募集を行うことが禁止されています(二重登録・乗合募集の禁止)。
(例外措置として、契約者等の保護に欠けるおそれがない場合として政令で定める場合(乗合代理店等)があります)
2) 保険会社および保険募集人の履行すべき義務 (2016年(平成28年)5月29日施行の改正法)
保険募集の基本ルール(一般的義務規定)
   ●  意向把握・確認義務
個々のニーズに沿った契約締結をするために、保険商品等の提案にあたってはお客さまの意向を把握し、必要な修正・説明により最終的な意向の反映(合致)を確認すること
   情報提供義務
お客さまの納得のもと誤認等トラブルの生じない契約締結をするために、提案する保険商品等に関する適切な情報提供を必要書面の交付・説明とともに行うこと
(契約者・被保険者が加入の適否を判断するために必要な情報(参考となるべき情報)の提供をすること。特に重要な事項についてはお客さまの了知の確認をすること)
法令遵守体制の整備
   ●  体制整備義務
法令等に定めるルールの遵守のために、所属保険会社に加えて保険募集人自らもその募集行為等について実態に応じた管理責任を負うこと
※  なお、複数商品を取り扱う乗合代理店等に対しては、代理店としての立場の誤認防止や比較推奨販売等に関する情報提供等について細かな追加義務(ルール)があります。
3) 保険募集に関する禁止行為
  以下の項目が保険業法第300条および内閣府令等で禁止行為として規定されています。 違反した場合は、その内容によって行政処分や司法処分を受けることになります。
   ・虚偽の説明・契約者または被保険者の判断に
 影響を及ぼすこととなる重要な事項の不説明
・告知義務違反をすすめる行為
・不適正な乗換募集
・特別の利益の提供
・特定関係者から特別の利益の提供を
 受けている者への保険募集
     ・誤解されるおそれのある比較・表示
・断定的な予想配当等の表示・説明
・その他の契約者等の保護に欠ける行為
 威迫・業務上の地位の不当利用
 他社の誹謗・中傷
 代筆代印・無断契約・保険料等の費消流用
※具体的な行為の例は省略します。
4) その他
   ●  所属保険会社について
  所属保険会社は、保険募集人が保険募集について保険契約者等に加えた損害を賠償する責任を負います。また、本・支店に登録募集人に関する原簿を備え置き、利害関係人は必要に応じて原簿の閲覧を求めることができることになっています。
   保険会社および保険募集人に対する監督
  当局(金融庁長官・各財務局長)には、保険会社および保険募集人(状況に応じてその業務委託先を含む)に対する「立入検査権」があり「業務改善命令」等必要な措置を講じることができます。
   保険仲立人に対する規制
  上記の保険募集人としての規制以外に、「保証金」の供託または「保険仲立人賠償責任保険契約」の締結が必要です。また、自己契約の募集禁止や顧客の求めに応じた手数料・報酬等の開示、顧客に対する誠実義務なども定められています。
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2023.04.01 (加藤)
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