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経済価値ベースのソルベンシー比率
  保険会社は、保険契約上の責任を果たすための引き当てとして責任準備金を積み立てていますが、予想を超えた保険事故のリスクや、資産運用をめぐるリスクなどが発生した場合に、自己資本や準備金を取り崩して対応する必要があります。保険業法では、「内閣総理大臣は、保険会社又は保険会社及びその子会社等に係る次に掲げる額を用いて、保険会社の経営の健全性を判断するための基準として保険金等の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準を定めることができる」(第130条)と規定されています。
  従来はソルベンシー・マージン比率(SMR)がその指標として用いられていましたが、国際的な規制動向やリスクの多様化・複雑化などを背景に策定された新たな指標である、「経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR:Economic Solvency Ratio)」へ移行することとなり、2026年(令和8年)3月期決算から適用されています。
  大きな違いは、ソルベンシー・マージン比率(SMR)は「簿価」を基準に計算していたのに対し、経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)は、市場実勢に基づく「時価」評価を採用している点です。このため、資産や負債の価格変動がより直接的に比率に反映されます。
  経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)は、ストレス環境下で発生する保険会社のリスク量を計測し、それに対する資本の十分性を示す指標として次の算式で表され、100%を下回った場合には、内閣総理大臣によって「早期是正措置(経営の健全性の回復を図り、保険契約者の保護を図るための措置)」が取られます。
経済価値ベースのソルベンシー比率
 = 
適格資本合計額
所要資本合計額×100
※適格資本
  保険会社の、それぞれ時価評価した資産から保険負債等を差し引いた残額のうち、一定の要件(永久性、償還可能性等)を満たすもので、その損失吸収能力、永続性等に応じて、「算入制限のないTier1資本」、「算入制限のあるTier1資本」「払込済みのTier2資本」の3つに分類されます。
※所要資本
  保険会社が直面する様々なリスクを、カテゴリーごとに原則99.5%の信頼水準に基づいた所定の方法で計算し、統合したものです。具体的には、「生命保険リスク」、「損害保険リスク」、「巨大災害リスク」、「市場リスク」、「信用リスク」、「オペレーショナルリスク」を計測し、分散効果を反映したうえで統合して算出します。
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2026.04.01(加藤)
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