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遺族基礎年金のしくみ
●遺族基礎年金を受給できる遺族
  遺族基礎年金は、死亡した人によって生計を維持されていた子または子のある配偶者で、年収が850万円未満の人に支給されます。ここでいう「子」とは、18歳になる年度末の子または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する子を指します。
  なお、2014(平成26)年4月より父子家庭世帯にも遺族基礎年金が支給されるようになっています。
●遺族基礎年金の受給資格
  次のいずれかに該当する人が死亡したときに、条件に合う遺族がいたときに遺族基礎年金が支給されます。
   国民年金に加入している人
   国民年金に加入していた人で、60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる人
   老齢基礎年金の受給権者、または国民年金の受給資格を満たしている人(ただし、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である人に限る)
  遺族基礎年金の対象となるのは、国民年金の第1号被保険者(主として自営業)だけではありません。第2号被保険者(会社員等)が死亡した場合にも国民年金の被保険者ですから当然支給されます。亡くなった会社員等に18歳に達する3月末までの子どもが居る場合には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されることになります。
●遺族基礎年金の保険料納付要件
  遺族基礎年金を受給するためには、被保険者または被保険者であった人が、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに、保険料納付期間(保険料免除期間も含む)が全被保険者期間の3分の2以上あることが必要です。つまり、保険料未納期間が全被保険者期間の3分の1以上あると、死亡しても遺族は遺族基礎年金をもらうことができないのです。これを遺族基礎年金の保険料納付要件といいます。
  なお、2026年4月1日前に死亡した場合の特例として、保険料納付期間(保険料免除期間も含む)が全被保険者期間の3分の2以上なくとも、直近1年間に保険料の未納がなければ保険料納付を満たしたことになります。
●遺族基礎年金の額
  遺族基礎年金の基本額は、795,000円です。妻が受給する場合は子の加算が行われます。子の加算は1人目・2人目は228,700円、3人目以降は76,200円になります(金額はいずれも毎年見直し)。
新規裁定者(67歳以下)の場合。既裁定者(68歳以上)は792,600円
  つまり、新規裁定者のケースで子どもの数と受給できる年金額をまとめると次のようになります。
妻と子1人
1,023,700円
妻と子2人
1,252,400円
妻と子3人
1,328,600円
  子どもだけで受けるときは、子の加算の2人目は228,700円、3人目以降は76,200円になります。
  つまり、子どもの数と受給できる年金額をまとめると次のようになります。
子1人
795,000円
子2人
1,023,700円
子3人
1,099,900円
●死亡一時金
  国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間が3年以上ある人が、老齢基礎年金、障害基礎年金を受けずに死亡したとき、生計を同じくしていた一定の遺族は死亡一時金が受給できます。受給できる金額は保険料納付済期間によって異なります。
3年以上15年未満
12万円
15年以上20年未満
14.5万円
20年以上25年未満
17万円
25年以上30年未満
22万円
30年以上35年未満
27万円
35年以上
32万円
●寡婦年金
  国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間が10年以上(2017(平成29)年7月までは25年以上)ある人が死亡した場合、残された妻に支給される国民年金独自の給付です。
  ・死亡した夫が障害基礎年金や遺族基礎年金を受給せずに死亡した場合
  ・死亡した夫との婚姻期間が10年以上ある場合
  寡婦年金の額は、死亡した夫が受けとれるはずだった老齢基礎年金の4分の3です。また、期間は妻が65歳になるまでですが、実際に受け取りが始まるのは妻が60歳になったときになりますので、最長5年間ということになります。寡婦年金と死亡一時金は両方を受給できませんので、どちらか一方を選択することになります。
2023.04.01
保坂
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