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欠損金の繰越控除
  会社の決算が赤字になってしまったときには、「欠損金の繰越控除」といって、赤字になってしまった事業年度の翌事業年度から10年間※1、赤字の繰り越しが認められています(ただし、青色申告法人に限ります)。また、過年度の欠損金は最も古い事業年度において生じたものから繰越控除します。
※1 2018年3月31日以前に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は9年間。<例>は2014年度に発生した欠損金のため、繰越控除期間は9年となる。
<例>
事業年度 所 得 欠損金控除後の所得
(申告所得)
欠損金控除額の残額
2014年度 △5,000万円(赤字)
2015年度 500万円(黒字) 0 4,500万円
2016年度 700万円(黒字) 0 3,800万円
2017年度 600万円(黒字) 0 3,200万円
2018年度 600万円(黒字) 0 2,600万円
2019年度 500万円(黒字) 0 2,100万円
2020年度 300万円(黒字) 0 1,800万円
2021年度 600万円(黒字) 0 1,200万円
2022年度 500万円(黒字) 0 700万円
2023年度 500万円(黒字) 0 200万円
(切捨て)
  このように、青色申告法人であれば、赤字を繰り越すことにより、黒字の事業年度の申告所得がゼロになり、法人税の納税が発生しなくなります(ただし、法人住民税の均等割があるため、納める税金がゼロというわけではありません)。10年(9年)間繰り越しても控除しきれないときは、残った欠損金額は切り捨てられます(上記参照)。
中小法人等以外の法人について、事業年度の欠損金等の控除限度額は、2012年4月1日から2015年3月31日までの間に開始する事業年度において、繰越控除をする事業年度の控除前所得金額の80%相当額、2015年4月1日から2016年3月31日までに開始する事業年度においては65%相当額、2016年4月1日から2017年3月31日までに開始する事業年度においては60%相当額、2017年4月1日から2018年3月31日までに開始する事業年度においては55%相当額、2018年4月1日以降に開始する事業年度においては50%相当額となります。
  なお、欠損金の繰越控除を受けるためには次の2つの要件をみたす必要があります。
1.欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出していること
2.その後連続して確定申告書(白色でも可)を提出していること
  また、欠損金等が生じた事業年度に係る帳簿書類の保管が必要です。
■特定株主等によって支配された欠損等方品の欠損金の繰越しの不適用
  欠損等法人がその買収後5年以内に、買収前の事業の全部廃止、その事業規模を大幅に超える資金受入れを行うこと等一定の事由に該当するときは、欠損等法人の欠損金の繰越控除が制限されます。つまり、欠損等法人を本来の目的ではなく、欠損金額の利用を目的として買収するような租税回避行為を防止するための措置です。
2025.05.01
常國
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