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減価償却
1.減価償却とは
  建物・機械などは長期にわたって使用されるものなので、取得したときに全額を費用とするのではなく、その使用期間に応じて費用化します。この手続きを「減価償却」といいます。
2.減価償却資産とは
  減価償却できる資産をいい、使用状況や時の経過によって価値が減少していくものが該当します。具体的には次のようなものがあります。
 ・建物および付属設備 ・構築物 ・機械および装置 ・船舶 ・航空機
 ・車両および運搬具 ・工具、器具および備品 ・特許権などの無形減価償却資産等
3.減価償却の方法
  一般的な減価償却の方法として、「定額法」と「定率法」があります。「定額法」では減価償却の額が毎年同額であるのに対し、「定率法」では初期に多く計上されて年とともに減少していくという特徴があります。
  減価償却の方法については、所定の期限までに税務署に届け出をしなければなりません。届け出なかった場合には、法律の定めに従った方法が適用されることとなります。また、所定の要件を満たせば減価償却の方法を変更することは可能ですが、1998年4月1日以後に取得した建物の償却方法は、定額法のみとなります。
4.減価償却の計算方法
(1) 2016年4月1日以降に取得した建物附属設備および構築物ならびに鉱業用の建物の償却の取扱い
建物附属設備および構築物(鉱業用のものを除く) 定額法
鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備および構築物に限る) 定額法または生産高比例法
定率法による取扱いはできません。
(2) 2007年4月1日以降に取得した減価償却資産の取扱い
定額法      償却限度額 = 取得価額×定額法の償却率
定率法 償却限度額 =(取得価額−既償却額)×定率法の償却率
(注)  算出した償却額が保証償却額に満たない場合は、別途法律で定められた計算方法にて算出)
残存価額の取扱いがありません。
償却可能限度額(取得価額の95%)の取扱いがありません。
耐用年数経過時点に1円(備忘価額)までの償却が可能です。
定額法の償却率は法令によって定められています。
定率法の償却率の原則的な取扱いは以下のとおりです。
    ・  2007年4月1日〜2012年3月31日に取得した資産  → 定額法の償却率×250%
    ・ 2012年4月1日以降に取得 → 定額法の償却率×200%
250%定率法を採用している場合で、定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回る場合、償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算します。
(3) 2007年3月31日以前に取得した減価償却資産の取扱い
定額法      償却限度額=(取得価額−残存価額)×定額法の償却率
定率法 償却限度額=(取得価額−既償却額)×定率法の償却率
「残存価額」は、取得価額に法令で定められた残存割合を乗じた金額です。
定額法の償却率、定率法の償却率は、別途法令で定められています。
償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度の翌事業年度以降5年間で均等償却ができます。
●設例
営業用車両(耐用年数5年)を事業年度の初めに300万円で取得したケース(2012年4月1日以降に取得)
  (1)定率法 (2)定額法 差額( (1)−(2) )
償 却 率 0.400 0.200
1年目の減価償却額 1,200,000円 600,000円 600,000円
2年目の減価償却額 720,000円 600,000円 120,000円
3年目の減価償却額 432,000円 600,000円 ▲168,000円
<1年目>
 定率法:3,000,000円×0.400=1,200,000円
 定額法:3,000,000円×0.200=600,000円
<2年目>
 定率法:(3,000,000円−1,200,000円)×0.400=720,000円
 定額法:3,000,000円×0.200=600,000円
<3年目>
 定率法:(3,000,000円−1,200,000円−720,000円)×0.400=432,000円
 定額法:3,000,000円×0.200=600,000円
2024.05.01
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