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所得の種類
  所得税における所得は、その内容によって、給与所得事業所得一時所得退職所得雑所得利子所得配当所得不動産所得山林所得譲渡所得の10種類に分類されています。
(1)給与所得とは
  給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費、賞与、その他これらの性質を有する給与に係わる所得をいいます。また、金銭で受領せずに、商品等の現物を支給される、いわゆる現物給与も給与所得として課税対象となります。
(2)給与所得の金額の計算
給与所得の金額=給与等の収入金額*−給与所得控除額*
【給与所得控除額】
給与等の収入金額 給与所得控除額
2020年分以降の給与等 (参考)2019年分までの給与等
    162.5万円以下  
55万円 65万円
  162.5万円超 180万円以下  
収入金額×40%−10万円 収入金額×40%
  180万円超 360万円以下  
収入金額×30%+8万円 収入金額×30%+18万円
  360万円超 660万円以下  
収入金額×20%+44万円 収入金額×20%+54万円
  660万円超 850万円以下  
収入金額×10%+110万円 収入金額×10%+120万円
  850万円超 1,000万円以下  
195万円
  1,000万円超    
220万円
(3)所得金額調整控除
  2020年(令和2年)以降の所得において、以下の要件を満たす場合に所定の金額を給与所得の金額(給与所得控除額控除後の金額)から控除できます。
@ 給与等の収入金額が850万円超の場合に以下の要件のいずれかを満たすものに適用
特別障害者に該当するもの
年齢23歳未満の扶養親族を有するもの、特別障害者である生計を一にする配偶者もしくは扶養親族を有するもの
控除額: その年の給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円)から850万円を控除した金額の10%相当額
A 「給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額(以下、給与所得控除後の給与等の金額)」および「公的年金等の収入金額から公的年金控除額を控除した残額(以下、公的年金等に係る雑所得の金額)」がある場合で以下の要件を満たすもの
その年の「給与所得控除後の給与等の金額+公的年金等に係る雑所得の金額」>10万円
控除額: その年の「給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円)および公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)の合計額」から10万円を控除した残額
(4)源泉徴収
  •   給与等の支払いをする際には、あらかじめ提出させた「給与所得者の扶養控除等申告書」に基づき、通常の給料等と賞与に区分して作成されている早見表により税額を求め徴収します。申告書が提出されていない場合も、所定の計算により徴収します。
      給与等の支払者は、これら源泉徴収した所得税を、翌月10日までに納付しなければなりません。

  •   年間の給与等の金額が2,000万円以下である者に対しては、年末に、年間給与等について計算した所得税額と実際徴収済額とを比較して、過不足額を最後の給与等の支払いに際し、精算(年末調整)することになっています。その際、生命保険料控除、損害保険料控除等も計算に取り込まれます。
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(1)事業所得とは
  事業所得とは、卸・小売業、飲食業、製造業、建設業、運輸業、サービス業等といった営業を行っている者や、医師・弁護士のような自由業を行っている者、または農業、漁業を行っている者のその営業などから生じる所得をいいます。
(2)事業所得の金額の計算
事業所得の金額=総収入金額*−必要経費*
総収入金額*
  その年中の事業によって収入として確定した金額の総計です。したがって、それが未収入であっても収入金額に含めて計算します。
必要経費*
  その収入を得るために要した費用のことで、主なものは次の通りです。
・ 販売商品の売上原価 ・租税公課 ・荷造運賃 ・水道光熱費 ・旅費交通費
・ 通信費 ・広告宣伝費 ・接待交際費 ・寄付金 ・研修費 ・給料賃金
・ 福利厚生費 ・地代家賃 ・借入金利子 ・減価償却費
  なお、次のような費用は必要経費にはなりません。
  • 家事用の費用(衣食住などの生活費)
  •  
  • 家事関連費のうち、家事分の費用
  • 所得税、住民税
専従者給与
  原則として家族に支払った給与は、必要経費にはなりません。しかし、一定の要件を 満たした場合には、必要経費とすることができます。
青色申告者の場合
    次の要件を満たして家族へ支払う給与は、その経験年数や職務の内容から判断して、 その金額が適正であれば、青色事業専従者給与として、その金額を必要経費に算入することができます。
<主な適用要件>
(1) 事業者と生計を一にする親族で、年齢15歳以上の者への支払であること
(2) その年を通じて原則として6カ月を超える期間、専らその事業に従事していること
(3) 高校、大学等の学生等(夜間学生は除く)でないこと、他に職業がないこと
(4) 適用を受けようとする年の3月15日までに、「青色事業専従者給与に関する届出書」をあらかじめ税務署に提出し、その届け出の範囲内の給与支払いであること
  原則として家族に支払った給与は、必要経費にはなりません。しかし、一定の要件を 満たした場合には、必要経費とすることができます。
白色申告者の場合
    下記の要件を満たして家族へ支払う給与は、次の金額を必要経費に算入することが できます。
<主な適用要件>
  上記青色事業専従者の要件の(1)(2)(3)と同じ
  なお、青色事業専従者も白色の事業専従者も、その受取った給与は「給与収入」となります。
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(1)一時所得とは
  一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得および譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務その他の役務、または資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいいます。例えば、次に掲げるものは一時所得に該当します。
  • 懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金
  • 生命保険契約等に基づく一時金並びに損害保険契約等に基づく満期返戻金および解約返戻金
  • 法人から贈与された金品
  • 借家人が立退きに際して受けるいわゆる立退料
  • 遺失物拾得者や埋蔵金発見者の受ける報労金
  ※ 競馬の払戻金については、状況により雑所得課税の対象となり得る旨の判決が出されました。
(2)一時所得の金額の計算
一時所得の金額=総収入金額−収入を得るために支出した金額
−特別控除額(50万円)          
  特別控除額は50万円ですが、総収入金額から収入を得るために支出した金額を控除した金額が50万円未満の場合には、特別控除額は、その金額になります。

  一時所得の金額は、総所得金額を計算する際には、2分の1相当額を他の所得の金額と合算します。
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(1)退職所得とは
  退職所得とは、退職手当等および、みなし退職手当等に係わる所得をいいます。
退職手当等
・ 退職手当 ・一時恩給 ・その他退職により一時に受ける給与
みなし退職手当等(退職手当等とみなされるもの)
国民年金法、厚生年金保険法等の社会保険制度に基づく一時金
適格退職年金契約に基づいて支給される一時金で、退職に基因して支払われるもの
特定退職金共済団体、勤労者退職金共済機構(中小企業退職金共済事業本部)等が行う退職共済の規定に基づく退職一時金
中小企業事業団が共済契約に基づいて支給する一時金
(2)退職所得の金額の計算
退職所得の金額=(収入金額−退職所得控除額)×1/2
  ただし、以下の場合は2分の1課税の対象外となります(上記計算式の「×1/2」がされません)。
1. 特定役員等退職手当等
特定役員等退職手当等とは、役員等勤続年数(退職金等に係る勤続年数のうち、役員等として勤務した期間の年数で、1年未満は1年に切上げ)が5年以下である人が支払いを受ける退職手当等のうち、その役員等勤続年数に対応する退職手当等のこと。
2. 短期退職手当等のうち退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額のうち300万円を超える部分
短期退職手当等とは、役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数が5年以下である退職手当等のこと(役員等として勤務した期間がある場合は、その期間を含む)。
法人の取締役、執行役、監査役、理事、監事など法人経営に従事している一定の者、国会議員および地方公共団体の議会の議員、国家公務員および地方公務員
  退職所得は、永年の勤続の結果として得られるものであり、また、老後生活の保障のための資金として担税力は強くないため、退職所得控除を行ったものを2分の1にしたうえで、さらに他の所得と分離して所得税率表を適用するという配慮がなされています。
なお、当シートに記載の内容において、復興特別所得税については考慮していません。
【退職所得控除額】

  退職所得の金額は、次の額を控除して計算します。なお、勤続年数に1年未満の端数が生じたときは、これを1年として計算します。
  • 通常の退職で勤続年数が20年以下の場合
    退職所得控除額(80万円未満の場合は80万円)=40万円×勤続年数
  • 通常の退職で勤続年数が20年超の場合
    退職所得控除額=70万円×(勤続年数−20年)+800万円
    <注>障害者になったことに直接基因して退職した場合には、上記の算式により計算した金額に100万円が加算されます。
(3)源泉徴収
  • 「退職所得の受領に関する申告書」を提出している場合
    退職所得の金額に所得税率表を適用して求めた税額を源泉徴収します。
  • 「退職所得の受領に関する申告書」を提出していない場合
    支給額の20%を源泉徴収します。
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(1)雑所得とは
  雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得以外の所得をいいます。雑所得には、次のようなものがあります。
非営業用貸金の利子
著述家、作家以外の者が受ける原稿料、印税
講演料、放送謝金(事業と認められるものを除きます)
公的年金等
郵便年金契約、生命保険契約などに基づく年金
機械、器具、自動車、特許権、漁業権などの賃貸料(ただし、事業として行うものは事業所得となります)
(2)雑所得の金額の計算
雑所得の金額 (公的年金等の収入金額*1−公的年金等控除額*2
    +(公的年金等以外の総収入金額−必要経費
  *1 公的年金等の収入金額
  公的年金等とは、次のものであり、その支給される年金額が収入金額となります。
  • 国民年金、厚生年金、国家公務員等共済、地方公務員等共済、私立学校教職員共済、農林漁業団体職員共済、農業者年金
  • 恩給(一時恩給を除く)および過去の勤務に基づき使用者であった者から受ける年金
  • 適格退職年金契約等に基づく退職年金
  *2 公的年金等控除額
  公的年金の所得計算では次の金額を控除します。

【公的年金等控除額】
@ 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合
公的年金等の収入金額 公的年金等控除額
65歳未満 65歳以上
  130万円以下  
60万円 110万円
130万円超 330万円以下  
収入金額×25%+27.5万円
330万円超 410万円以下  
収入金額×25%+27.5万円
410万円超 770万円以下  
収入金額×15%+68.5万円
770万円超 1,000万円以下  
収入金額×5%+145.5万円
1,000万円超    
195.5万円
A 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超 2,000万円以下の場合
公的年金等の収入金額 公的年金等控除額
65歳未満 65歳以上
  130万円以下  
50万円 100万円
130万円超 330万円以下  
収入金額×25%+17.5万円
330万円超 410万円以下  
収入金額×25%+17.5万円
410万円超 770万円以下  
収入金額×15%+58.5万円
770万円超 1,000万円以下  
収入金額×5%+135.5万円
1,000万円超    
185.5万円
B 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が2,000万円超の場合
公的年金等の収入金額 公的年金等控除額
65歳未満 65歳以上
  130万円以下  
40万円 90万円
130万円超 330万円以下  
収入金額×25%+7.5万円
330万円超 410万円以下  
収入金額×25%+7.5万円
410万円超 770万円以下  
収入金額×15%+48.5万円
770万円超 1,000万円以下  
収入金額×5%+125.5万円
1,000万円超    
175.5万円
(3)源泉徴収
  • 原稿料、印税、講演料、放送謝金等
    1回に支払われる金額のうち、
    100万円以下の部分の金額…10% 100万円を超える部分の金額…20%
  • 個人年金
    収入金額から所定の必要経費を控除した残額に対して10%(その残額が25万円未満のときは源泉徴収を要しません)
  • 公的年金等
    収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を控除した残額に対して5%
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(1)利子所得とは
利子所得とは、次の利子等に係わる所得をいいます。
公社債の利子
預貯金の利子
公社債投資信託の収益の分配金
合同運用信託(貸付信託や金銭信託)の収益の分配金
財形貯蓄契約の基づく生命保険等の差益
(2)利子所得の金額の計算
年中の利子等の収入金額が、そのまま利子所得の金額となります。
(3)課税方法
@ 原則の取扱い
 20%(所得税15%、住民税5%)の税率による源泉分離課税方式とし、総合課税制度は適用されません。
A 特定公社債等の利子等
 特定公社債の利子および公募公社債投資信託の収益分配金等(これ以降、特定公社債等の利子等といいます)については、20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税の対象となります。
 なお、特定公社債等の利子等は支払いの際に20%(所得税15%、住民税5%)の税率によって源泉徴収され、申告分離課税に代えて「申告不要」の選択も可能です。
国債、地方債、外国国債、公募公社債、同族会社が発行した社債を除く2015年12月31日以前に発行された公社債をいいます。
B 一般公社債等の利子等
 一般公社債等の利子や私募公社債投資信託の収益分配金等(これ以降、一般公社債等の利子等といいます)については、20%(所得税15%、住民税5%)の税率による源泉分離課税の対象となります。
特定公募債等以外の公社債をいいます。
C 私募債の利子
 一般公社債のうち、同族会社が発光した私募債*の利子で、その同族会社の役員等が支払いを受けるものについては、総合課税の対象となります。
少数の投資家が直接引き受ける(証券会社を通じての不特定多数の投資家に対する募集は行わない)社債のことで、勧誘者が縁故者に限られます。
(4)非課税扱い
次に掲げる利子などについては非課税扱いとされます。
対 象 種 類 非課税限度額
(元本)
内 容
障害者等(注) マル優 350万円 銀行などの預貯金、
貸付信託、公社債、
公社債投資信託など
特別マル優 350万円 利付国債、
公募地方債
サラリーマン 財形住宅貯蓄
財形年金貯蓄
合わせて
550万円
給料から天引き
される貯蓄
<注>日本郵政公社の民営化に伴い、ゆうちょ銀行の貯金については民間金融機関と共通の非課税枠に含められる。ただし民営化前に預け入れられた定額貯金、積立郵便貯金などの定期性郵便貯金は満期まで非課税限度額が適用される。
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(1)配当所得とは
配当所得とは、次の配当等に係わる所得をいいます。
法人から受ける利益の配当
   株式会社の決算配当、中間配当、株式配当等
法人から受ける剰余金の分配
   信用金庫、農協等の特別法人から受ける出資に対する剰余金の分配
基金利息
   保険相互会社の基金に対する利息
証券投資信託(公社債投資信託を除く)の収益の分配
(2)配当所得の金額の計算
配当所得の金額=配当等の収入金額     
                 −元本を取得するための負債の利子の額
<注>配当等の収入金額は、源泉徴収前の金額です。
(3)源泉徴収
  配当所得は、原則として、配当等の支払いの際に20%(所得税15%+住民税5%)の税率で源泉徴収が行われます。
(4)配当所得の課税方法
  原則として他の所得と合算の上、総所得金額に含めて総合課税の方法により行われますが、所定の要件を満たすことによって、総合課税、申告分離課税、申告不要の選択を行うことができます。
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(1)不動産所得とは
  不動産所得とは、次の所得をいいます。
不動産の(土地や建物など)貸付による所得
不動産の上に存する権利(地上権、永小作権など)の貸付による所得
船舶、航空機の貸付による所得
(2)不動産所得の金額の計算
不動産所得の金額=総収入金額*1−必要経費*2
*1 総収入金額
  不動産所得の総収入金額は、その年中において収入すべき賃貸料、権利金、更新料金等の金額の合計額です。
*2 必要経費
  • 総収入金額を得るために直接要した費用の額
  • 一般管理費等の費用の額…具体的には、貸し付けた不動産にかかる固定資産税、修繕費、損害保険料、減価償却費、借入金の利子、管理費などがあげられます。
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(1)山林所得とは
  山林所得とは、山林の伐採または譲渡による所得をいいます。ただし、山林をその取得の日以後5年以内に伐採、譲渡することによる所得は、事業所得または雑所得となります。また、山林を土地付きで譲渡する場合には、山林の部分だけが山林所得となり、土地の部分は譲渡所得となります。
(2)山林所得の金額の計算
山林所得の金額=総収入金額−必要経費*1−特別控除額*2(50万円)
*1 必要経費
植林費、取得費、育成費、管理費、伐採費、譲渡に要した費用などです。
*2 特別控除額
特別控除額は50万円ですが、(総収入金額−必要経費)が50万円未満のときは、特別控除額はその金額となります。
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(1)譲渡所得とは
  譲渡所得とは、土地、建物、ゴルフ会員権、器具備品などの資産を譲渡することによって生ずる所得です。ただし、資産の譲渡による所得でも、譲渡所得以外の所得として課税されるものがあります。
  • 棚卸資産等の譲渡による所得…事業所得
  • 営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得…事業所得、雑所得
  • 山林の伐採または譲渡による所得…山林所得、事業所得、雑所得
  譲渡所得には、他の所得と総合して課税される「総合課税の譲渡所得」と、他の所得とは分離して課税される「分離課税の譲渡所得」があります。「総合課税の譲渡所得」の金額は次の算式により計算します。
譲渡所得の金額=総収入金額−(取得費+譲渡費用)
                           −特別控除額(50万円)
  • その資産を取得してから5年以内の譲渡によるものを短期譲渡所得といい、5年を超えているものを長期譲渡所得といいます。
  • 特別控除額は、譲渡益が50万円未満のときは、その金額となります。特別控除の順序は、短期譲渡所得から控除し、控除しきれない部分は長期譲渡所得から控除します。
  • 総合課税に際し、長期譲渡所得の金額はその2分の1が、短期譲渡所得の金額は全額が総所得金額に算入されます。
(2)分離課税となる土地・建物等の譲渡所得

a)分離長期譲渡所得
譲渡のあった年の1月1日において、所有期間が5年を超える土地・建物等の所得をいいます。
課税長期譲渡所得金額=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額
税額=課税長期譲渡所得金額×20%(所得税15%、住民税5%)
b)分離短期譲渡所得
譲渡のあった年の1月1日において、所有期間が5年以下の土地・建物等の所得をいいます。
課税短期譲渡所得金額=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額
税額=課税短期譲渡所得金額×39%(所得税30%、住民税9%)
c)譲渡所得の特別控除の種類
特別控除の種類 特別控除額
 公共事業などのための土地や建物を売却した場合 5,000万円 
 マイホーム(居住用財産)を売却した場合 3,000万円 
 被相続人居住用家屋(および土地)を相続したものが売却した場合 3,000万円 
 特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合 2,000万円 
 特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合 1,500万円 
 2009年および2010年に取得した国内にある土地を譲渡した場合 1,000万円 
 農地保有の合理性などのために土地を売却した場合 800万円 
d)その他
買換え・交換の特例、特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除などの課税上の特例制度が設けられています。
  土地・建物等の長期譲渡所得の金額または短期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額については、土地・建物等の譲渡による所得以外の所得との損金通算および翌年以降の繰越しは認められません。
  株式の場合と同様に譲渡損失の損益通算は、土地・建物等の譲渡所得とのみ可能です(ただし一部例外あり)。
(3)分離課税となる株式等の譲渡所得等

a)株式等に係る譲渡所得等の申告分離課税
株式等の譲渡による譲渡所得、事業所得および雑所得を一括して、確定申告を通じて他の所得と分離し、次の算式により課税されます。
株式等に係る課税譲渡所得等の金額=株式等の譲渡による収入金額
                  −(取得費+譲渡費用+譲渡した株式等の負債利子)
税額=株式等に係る課税譲渡所得等の金額×20%(所得税15%、住民税5%)
b)上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例
特例として次のような措置が設けられています。
上場株式等の譲渡損失の繰越控除
上場株式等の損益通算の特例(2009年分以後)
特定口座制度
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置(NISA)
c)国外転出した場合の譲渡所得等の特例
一定の高額資産家を対象として、出国時の未実現のキャピタルゲインに対して行う特例的な課税
d)相続人が相続した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合の課税の特例
相続人が相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合に限り、みなし配当課税は行わず、譲渡益課税とされます。
この特例を受けるためには、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに発行会社に譲渡することなどが要件となっています。
なお、当シートに記載の内容において、復興特別所得税については考慮していません。
2023.05.01
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