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申告と納税
1. 申告
  (1)
申告書を提出しなければならない者
 
被相続人から財産を取得したすべての者の「課税価格の合計額」が、「遺産に係る基礎控除額」を超え、かつ、配偶者の税額軽減の適用がないものとして相続税額の計算を行った場合に、納付すべき相続税額があるときは、相続または遺贈により財産を取得した者は、相続税の申告書を提出しなければなりません。
 
  (2)
申告書の提出期限
 
相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日(通常の場合、被相続人が死亡した日)の翌日から10カ月以内に提出しなければなりません。
 
  (3)
申告書の提出先
 
相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所が日本国内にある場合には、その被相続人の死亡時における住所の所轄税務署長です。被相続人の住所が日本国内にない場合には、財産を取得した者の住所の所轄税務署長に提出することになります。
 
2. 納税
  (1)
納付期限
 
相続税の申告書を提出した者は、申告書の提出期限までに、その申告書に記載した税額を国に納付しなければなりません。
 
  (2)
延納
 
次のすべての要件を満たし、税務署長の許可を得た場合には、延納することができます。延納税額については、所定の利子税が課せられます。
 
<要件>
  • 納付すべき相続税額が10万円を超えていること。
  • 納付期限までに、または納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由があること。
  • 必要な担保の提供があること(延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合は不要)。
  • 納付期限、または納付すべき日までに所定の申請書を提出して税務署長の許可を受けること。
  (3)
物納
 
相続税は、他の税金と同様に現金で納付するのが原則ですが、相続または遺贈により取得した財産が不動産などのように換金しにくいものもあります。そこで、次のすべての要件にあてはまる場合には、物納が認められています。
 
<要件>
  • 納付すべき相続税について、延納によっても金銭で納付することを困難とする理由があること。
  • 納付期限、または納付すべき日までに申請によって税務署長の許可を受けること。
  • 金銭で納付することを困難とする金額を限度とすること。
  • 物納できる財産であること。
 
物納できる財産の種類と順序は次のとおりです。また、物納財産の収納価額は、原則として課税価格の計算の基礎になったその財産の価額です。
 
<物納に充てることができる財産の種類と順序>
 
第1順位
@ 国債、地方債、上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券および出資証券を含み、短期社債等を除く)、不動産、船舶
A 上場株式および不動産のうち物納劣後財産に該当するもの
第2順位
B 非上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券および出資証券を含み、短期社債等を除く)
C 非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
第3順位
D 動産
  平成18年度税制改正で、相続税の物納制度について、手続きの明確化・迅速化などの観点から見直しが行われました。
改正の概要
●物納許可基準の緩和・明確化
  • これまで不明確であった物納不適格財産を法令で限定・明確化
  取引相場のない株式については、譲渡制限株式のみが物納不適格とされ、それ以外の株式の物納は、一定の手続きがとられた場合、業績などを問わずに認められます。
●物納手続の迅速化・明確化
  • 物納許可に係る審査期間(原則3カ月以内)の法定
  • 物納手続に必要な書類の明確化および提出期限の法定  など
●その他納税者の利便の向上など
  • 延納中に延納困難となった場合に物納を認める制度の創設  など
2023.05.01
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