6月も中旬となると、来月のことが気にかかるようになる。
B生命では例年7、11、2月を重要月とし大増産の号令がかかる。機関長や営業職員を刺激するためにいろいろな規定や表彰施策が設けられ、顧客対象にさまざまなイベントが実施される。6月中旬から7月上旬にかけてのゴルフコンペから始まり、ボウリング大会、ホテルでの後援者一席招待会、銀行支店長招待会、経済評論家による講演会と目白押しである。このうちゴルフコンペと講演会は支社主催であるが、Y市から実施会場まで距離があるため、今までの例ではせいぜい3、4名程度の参加者しか見込めない。また、その他のイベントにしてもこれまでの集客状況は思わしくなく、盛り上がりにも欠けている。組織長たちに原因を聞くと次のようなことに集約された。
(1) | 経費や労力の割に効果が薄い |
(2) | ここ2、3年の新契約の減少で収入がダウン、経費負担に耐えられない |
(3) | 毎年同じような顔ぶれ、内容で新鮮味がない |
次郎にもなんとなく分かってはいたが、これといった妙案も浮かばない。期日も迫っており、中止する訳にもいかないが、このような状況では実施してもみじめな結果に終わることは目に見えている。
思いあまって、次郎は石丸ブロック長に相談することにした。ブロック長に前回助言を受けたときには素直に受け止められなかったが、二人の新人が入ったことにより、実感として理解できたという経緯がある。だが、意外なことにブロック長も同じような問題を抱え悩んでいたことを次郎は知ることになる。
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