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FPのひとりごとA
「B/SとP/Lで健全な家計運営を」
 
「B/SとP/Lで健全な家計運営を」
 中学1年生のときに、商業高校に通う姉の教科書を読んで「簿記」と出会い、魅せられてしまった。それ以来、私の頭の中には常に、「バランスシート(B/S)」と「損益計算書(P/L」がある。自分の財産をプラスとマイナス両面から考えること、収入の範囲で支出を行うということは、至極当たり前のことだった。
 若いときからそういう考え方が身に付いていたので、誰もがそういうことを考えているものと思っていた。しかし、会計事務所勤務のとき、そしてFPになってから他人の家計や金銭感覚を知るようになり非常に驚いた。お金がなくても平気でお金を使い、過分な借金があることを気にしない人があまりに多いのである。
 「お金は天下のまわりもの」という言葉は嫌いではないし、大きなものを得るためには投資が必要ということは十分に理解している。私自身、けちでも、いわゆる節約家でもない。しかし、少しのことで自己破産に至るような状態にならないように、常に気をつけている。
 簿記など知らなくても事業や家計をうまく運営している人は少なくないが、本人たちがそれと意識していなくても、彼らの頭の中には間違いなくB/L、P/Lがある。会社でも家計でも、お金のやりくりを成功させるには、絶対に欠かせないアイテムだと思う。
 金融商品や住宅ローンの種類が増え、個人の選択肢の幅は広がっている。一方、雇用は不安定になり、年金や社会保険などの社会保障制度は縮小、また税負担はますます重くかつ課税方法は複雑になっている。このような時代には、家計といえどもひとつの会社を経営するように計画的に運営しないと、カンタンに破綻してしまうおそれがある。
 生保セールスにおいては、顧客の将来のマネープランを基に必要保障額を導き出すコンサルティング手法が一般的になりつつある。目の前のやりくりで手一杯の顧客に、未来図を見せてあげることは重要である。それと同時に、顧客に家計の現状を示してあげることも重要だ。健全な家計運営には、現状分析(B/S、P/Lなどの財務諸表の作成)と、将来のプランニング(事業計画)は欠かせないのである。
 家計のB/S、P/Lのつくり方は次回以降に。
2009.02.09
執筆者:山田 静江
(やまだ しずえ)
[経歴・バックグラウンド]
ファイナンシャル・プランナー/CFP(R)
早稲田大学商学部卒業後、東海銀行(現:三菱東京UFJ銀行)に勤務。
その後、会計事務所やFP事務所勤務を経て、2001年にファイナンシャル・プランナーとして独立。
現在は、ライフプラン・リタイアメントプラン、家計管理、年金・社会保険、生命保険などに関する執筆や監修、セミナー講師、個人相談を行っている。
最近の監修本に「家計一年生」(主婦の友社)、「実家のお墓、自分のお墓 これから『お墓』どうしよう !?」(オレンジページ社) がある。
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