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FPのひとりごとC
「B/Sのつくり方」
 
「B/Sのつくり方」
 単なる家計簿ではなく、会社経営でも使用するバランスシート(B/S)と損益計算書(P/L)を作ってみると、現在の家計の実力を知ることができる。簡単なものでいいので、一度自分の家のB/SとP/Lを作って、客観的に眺めてみることをお勧めする。まずは、バランスシートから。
 バランスシートは、ある時点での、家計(会社の財務)状況を知るためのツールだ。下記見本にあるように、左側に資産(プラスの財産/金融資産や不動産など)、右側に借金(マイナスの財産/ローンその他借金)を書き出していく。そうすることで、見かけではない本来の自分達の家計の状況がわかるようになる。
<バランスシート(B/S)>
財産 借金
 金融資産  ・住宅ローン
 ・預貯金  ・自動車ローン
 ・株・投資信託  ・その他ローン・借金
 ・貯蓄型保険 ローン合計(B)
 不動産など 正味財産(純資産)
(A-B)
 ・土地・建物
 ・自動車など
財産合計(A)
 ※記入時の注意点
  @金融資産やローンは12月末など日にちを決めて、その日の時価や残高を記入。
  A土地・建物は固定評価額、または広告に出ている同程度の物件の価格の7〜8割程度の金額。
  B自動車は5年でほぼ価値はゼロと考える。厳しく評価を。
  C住宅や自動車をローンで買ったときには、必ず保険(住宅保険、自動車の車両保険)に加入。
    そうしないと火事や事故にあったときには、ローンだけが残ってしまう。

 周りから見たら同程度の生活レベルに見えるAさんと、Bさんを例にとって、その内情がどれくらい違うか、バランスシートで比べてみよう。
堅実家計AさんのB/S
財産 借金
 金融資産      300  住宅ローン    3,000
 不動産など   計     3,000(B)
 マンション     3,500    正味財産(純資産)
          900
 自動車        100
  計     3,900(A)
いきあたりばったりBさんのB/S
財産 借金
 金融資産      100  住宅ローン    4,000
 不動産など  自動車ローン    180
 マンション     3,500   計     4,180(B)
 自動車        100    正味財産(純資産)
         △480
  計     3,700(A)
 AさんもBさんも、同レベルのマンションに住み、似たようなクラスのマイカーを持っている。しかし堅実なAさんは、自動車は必ずキャッシュで購入し、マイホーム購入時には十分な頭金を準備した。一方、いきあたりばったりのBさんは、自動車は常にローンで購入。マイホームも「頭金なしでOK」という言葉に引かれて買ってしまった。
 その結果、実質的な財産額(正味財産)は、Aさん900万円に対してBさんはマイナス480万円。実に1,380万円もの開きがある。Bさんの場合、何らかの理由でマンションを手放すことになれば、売却してもローンが残る。自動車もその価値以上のローンが残っているなど、かなりの危険家計である。表を見れば、少なくとも480万円分のローンの繰上返済をすることが、Bさんの緊急課題だということが一目瞭然だ。
 不透明なこの時代、家計破綻を引き起こさないためには、最低限、正味財産がマイナスになっていないかチェックしておくことが必要、といえるだろう。
2009.03.09
執筆者:山田 静江
(やまだ しずえ)
[経歴・バックグラウンド]
ファイナンシャル・プランナー/CFP(R)
早稲田大学商学部卒業後、東海銀行(現:三菱東京UFJ銀行)に勤務。
その後、会計事務所やFP事務所勤務を経て、2001年にファイナンシャル・プランナーとして独立。
現在は、ライフプラン・リタイアメントプラン、家計管理、年金・社会保険、生命保険などに関する執筆や監修、セミナー講師、個人相談を行っている。
最近の監修本に「家計一年生」(主婦の友社)、「実家のお墓、自分のお墓 これから『お墓』どうしよう !?」(オレンジページ社) がある。
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