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V.検討事項
  最近の大きな改正項目の多くは、前年以前からこの検討事項に書かれていた内容です。そのため検討事項とはいえ、今後の税制改正を予測する上では大変重要な項目となりますので、ここにその中でも影響が大きいと思われるものを抜粋します。
■ 年金課税
  年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間および世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバランス、貯蓄商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意して、年金制度改革の方向性も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。
■ 医療費控除
  医療費控除については、長らく基本的な制度変更は行われておらず、その間の医療費の増大や医療・医薬品を取り巻く環境変化、その控除に係る執行面の実情等を踏まえ、公正な課税を確保するため、対象となる医療費の範囲や適用下限額の見直し、適正な執行の確保等について、そのあり方を総合的に検討する。
NISA、金融所得課税一体化
  NISAについては、投資家のすそ野を広げ、経済成長に必要な成長資金の供給を拡大する観点から、措置の実績や効果の検証等を踏まえ、引き続き検討する。
  デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所の実現にも資する観点から、意図的な租税回避の防止に十分留意し、引き続き検討する。
■ 寄附金税制
  寄附金税制については、これまでの制度拡充の効果等を踏まえ、所得控除による対応を基本としている所得税において税額控除を適用する場合の対象範囲等についての考え方や、控除の選択制の適否を含めた控除方式のあり方等について、主要国の制度も参考にしつつ総合的に検討し、早期に具体的な結論を得る。
■ 小規模企業等に係る税制
  小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、個人と法人に対する課税のバランスを図るための外国の制度も含め幅広い観点から検討する。
「平成26年度 経済産業関係 税制改正について(秋の大綱決定事項を含む)」(平成25年12月/経済産業省)より
■ 医療法人の相続税等
  地域医療を担う医療法人の医業継続に係る税制のあり方については、新たに創設する医業継続のための相続税等の納税猶予の効果を見極めつつ、医療法人制度上の課題を検討したうえで、医業継続の実効性確保や課税の公平性等の観点から検討する。
■ 低炭素化設備の普及を目的とした贈与税の特例措置
  低炭素化設備の普及を目的とした贈与税の特例措置については、環境政策上の位置付けやその中におけるその設備の購入に係る実質的負担、対象設備や他分野への波及、金融商品を対象とすることによる問題点、生前贈与による相続課税の回避を防止するという贈与税の役割、既存の特例措置の趣旨等を踏まえ、引き続き検討する。
■ 投資法人等課税
  投資法人等の課税については、税会不一致等による投資法人等の活動の制約の解消を図る観点から、平成27年度税制改正に向けて、運用対象資産の範囲を含む投資法人制度およびその会計基準と課税のあり方について、わが国における投資法人の活動実態、諸外国における制度・事例や通常法人との課税の公平性にも留意しつつ、検討する。
■ 消費税増税に伴う医療税制
  医療に係る税制のあり方については、消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、医療機関の仕入れ税額の負担および患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ適切な措置を講ずることができるよう、医療保険制度における手当のあり方の検討等と併せて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。
「平成26年度税制改正の概要(厚生労働省関係の主な事項)」(平成25年12月/厚生労働省」より
■ 消費税課税(国境を超えた役務提供等)
  国境を越えた役務の提供等に対する消費税の課税のあり方については、国際機関や欧州諸国における対応状況等を踏まえ、内外判定基準の見直しおよびそれに応じた適切な課税方式について、リバースチャージ方式の導入も含めて、平成27年度税制改正に向けて具体的に検討する。
■ 医療税制(事業税非課税、軽減税率)
  事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置および医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。
■ 償却資産税
  設備投資促進を目的とした固定資産税の償却資産課税に関する税制措置については、固定資産税が基礎的自治体である市町村を支える安定した基幹税であることを踏まえ、政策目的とその効果、補助金等他の政策手段との関係、新たな投資による地域経済の活性化の効果、市町村財政への配慮、実務上の問題点など幅広い観点から、引き続き検討する。
「平成26年度税制改正について(中小企業・小規模事業者関係税制)」(平成25年12月/中小企業庁)より
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