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高齢化が進む税理士業界―税理士実態調査
●  実に「70歳代」の年齢層が約3割
  税理士業界は税務署などを退官したOB税理士が多いことから、その平均年齢が高いことは周知の事実だったが、実に「70歳代」が全体の約3割を占めてもっとも多いことが、日本税理士会連合会がまとめた「第5回税理士実態調査」で明らかになった。同調査は、2004年4月に実施したもので、第4回調査が実施された1994年から10年ぶりの実態調査となる。前回の調査から今回までの10年間で、高齢化はさらに進展している。
  調査結果(有効回答数2万9,608会員)によると、税理士の年齢を年代別にみると、もっとも多いのが29.1%を占めた「70歳代」で、次いで「50歳代」(19.3%)、「60歳代」(18.4%)、「40歳代」(15.6%)、「30歳代」(10.4%)、「80歳代」(5.4%)、「20歳代」(1.1%)の順となった。税理士業界の高齢化が裏付けられる結果となったが、これまでの調査結果をみていくと、この割合は年々進行していることが分かる。
●  「開業税理士」に高齢化が顕著
  1984年の第3回調査の中でもっとも多い年代層は「50歳代」(37.0%)で、以下、「60歳代」(26.4%)、「40歳代」(15.3%)と続いていたが、10年後の第4回調査では、「60歳代」(43.1%)、「40歳代」(16.4%)、「50歳代」(13.3%)、「70歳代」(13.0%)の順となり、10年前の世代構成がほぼそのまま押し上げられた格好となった。それをさらに押し上げたものが今回の結果とみることができる。
  この傾向がもっとも顕著に表れたのが「開業税理士」(有効回答数2万4,229会員)で、「70歳代」の年齢層が約3割(33.0%)を占める。「開業税理士で、ほかの税理士と雇用関係にある者」(同2,617会員)と「補助税理士」(同1,616会員)では、「30歳代」の年齢層がもっとも多く、それぞれ34.4%、39.9%であった。また税理士法人の「社員税理士」では「40歳代」が25.2%で最多だった。このことから、高齢化は開業税理士の傾向だといえる。
●  資格取得前の職業は4割が「税務職員」
  自由職業人の中でも、特に多様な資格取得制度を持っている税理士制度だが、多様とはいえ、毎回の調査でトップを占めているのはやはり「試験合格者」で、その割合は3回の調査平均で40%前後となっている。中でも今回の調査結果が一番高く、試験合格者は、実に4割の43.8%を占めた。以下、「試験免除者」(25.1%)、「特別試験合格者」(24.8%)が上位を占める。
  資格取得前の職業(複数回答)をみると、今回の調査も含めて、3回とももっとも多かったのが「税務職公務員」で、前2回の調査では回答者のほぼ半数に及び、今回の調査でも約4割(39.4%)に達し、税理士業界の高齢化が進む要因となっている。次いで多かったのが「税理士事務所職員」(今回38.2%)で、この二つの前職だけで各回の調査いずれも合計で7〜8割を占め、3番目に「会社員」(同12.7%)が続く。この結果から、資格取得者の約9割が何らかの形でこの3職の経験を経てきたことが分かる。
  なお「他士業資格を持っている」と回答(複数回答)したのは、全体の23.3%にあたる6,908会員だった。保有資格の中でもっとも多いのは前2回と同様「行政書士」で11.4%、次いで「公認会計士」(5.4%)、「社会保険労務士」(4.5%)となっている。
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2005.03.22
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