>  今週のトピックス >  No.1003
団塊世代退職後のマネジメント人材の確保
●  団塊世代退職後は若手の登用が進む
  2007年から企業における団塊の世代の定年退職が始まる。これまでとは一変して企業は人手不足になるともいわれる。3月9日に発表された「日本的人事制度の変容に関する調査」をもとに、団塊世代の定年退職後の人材戦略に対する企業の意識と実態を探る。
  団塊世代の大量定年退職が企業に与える影響として、多い順に、(1)「管理職への若手抜てきが進む」(58.1%)、(2)「技能伝承など社内でのナレッジの継承がうまくいかなくなる」(39.9%)、(3)「定年延長が進む」(35.2%)、(4)「社内のコア人材の絞り込みが進む」(26.1%)、(5)「新卒・中途の採用が増えて、売り手市場となる」(22.1%)、(6)「幹部や管理職・専門職のスカウト採用が増える」(16.2%)と続く。
  団塊世代の管理職が抜けた穴を埋める対応策として、若手の登用、外部からのスカウトが挙げられている。また管理職のだぶつきが解消され、コア人材の絞り込みができるようになるという前向きの回答もある。
  問題点として製造業、建設業を中心に技能継承が途切れる不安も大きい。その対策として定年延長も視野に入っている。
  一方「あまり影響がない」という回答も全体で22.9%あった。回答企業のうち、サービス業などの第3次産業では38.4%がそのように回答しているが、製造業では13.5%である。業種によって団塊退職の影響の深刻度が異なることが分かる。
●  早期選抜は大企業では過半数が実施済み
  若手を抜てきするには、経営幹部の早期選抜・育成が実施されていることが前提である。その実施状況は、「すでに実施」が26.1%(5,000人以上の大企業では56.8%)、「実施予定」が4.7%、「検討中」が40.3%と、7割の企業がすでに早期選抜・育成に取り組んでいるか、取り組もうとしていることになる。
  選抜の対象となるのは、部長クラスが18.9%、課長クラスが36.5%、課長代理クラスが13.5%、係長・主任クラスが23.0%で、課長クラスから始まるのがもっとも多い。なお大企業になるほど選抜対象は若くなる。
  実際に管理職登用年齢はすでに早まっている。2000年調査では38.4歳だった標準的な登用年齢が、2004年では37.8歳。特に第一選抜登用年齢は同じ時期で37.1歳から34.1歳に早められている。
  若手登用の究極は社長の若返りである。日本の社長の平均年齢は58.2歳。しかし今回の調査では、望ましい社長の就任年齢は52.4歳であった。5,000人以上の大企業でも、早期選抜・育成を志向している企業では52.8歳と非常に若い。
参考:財団法人社会経済生産性本部「第8回 日本的人事制度の変容に関する調査」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.03.28
前のページにもどる
ページトップへ