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ペイオフ対応の新商品
●  名寄せ完了は地銀の半数
  ペイオフの普通預金なども含めた全面解禁を直前に控えて、日本経済新聞社が3月21日にまとめた地方銀行に対する緊急調査を見てみると、ペイオフ時に必要な、いわゆる名寄せ(預金情報の一元管理)作業を完了した地方銀行は、わずか5割だった。
  さらに詳しく調査報告を見てみると、「名寄せ作業を完了した」と回答したのは56行(約50%)のみで、53行が「名寄せ作業は3月末までに完了する」と回答している。つまり3月31日までの約1週間で、名寄せ作業を急ピッチですすめるということだ。ちなみに、名寄せ作業が4月以後にずれこむと回答した銀行も1行あった。預金者の本人確認など事務作業が膨大なために遅れがあるようだ。
●  「ペイオフ制度」とは?
  ペイオフ制度は1970年代に創設された、金融機関が破たんしたときの処理方法で、保険対象となる預金について、金融機関からの保険料により一定限度まで預金者に払い戻し、その上で破たんした金融機関を清算する制度のことをいう。
  またペイオフ解禁とは、金融機関が破たんした場合、2002年4月から定期預金など定期性預金については元本1,000万円とその利息までしか払い戻しの保証がされていなかった。しかし、今年の4月からは、普通預金なども含めて元本1,000万円とその利息までしか払い戻しの保証がされないことを指す。
●  ペイオフ対応の新商品
  地方銀行の名寄せ作業の遅れとは反対に、銀行以外の業界が、銀行が既得権として持っていた個人の預金を狙って新商品を開発してきた。
  フランスなどでワインファンドを運営するシャトーマネージメントグループは、日本国内の投資会社エクセを窓口として、今年の4月からワインファンドを富裕層向けに組成する。各投資家から資金を集め、その資金でワインファンドマネージャーが高級ワインを購入し5年後に売却する。5年後のワインの値段が高騰していれば、各出資者は利益を得ることになる。購入単位は1口500万円で、初回募集額は5億円のもよう。
  また上記以外にも会計事務所のアーケイディア・グループは飲食店ファンド、日本航空グループの商社JALUXはハワイのホテル物件のタイムシェア代理販売を始めた。
  いずれも、今年4月のペイオフ全面解禁に伴い、普通預金が全額保護の対象とはならなくなるため、「ペイオフ対応商品」としての販路を模索している。今後ますますこのような動きは広がるだろう。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.03.28
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