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消費税総額表示についての質問を財務省が公表
●  総額表示がスタートして1年
  平成16年4月に、「値札」や「広告」などに価格を表示する場合には、消費税額などを含んだ支払総額の表示を義務付ける「総額表示方式」が導入されて1年となる。
  消費税の総額表示対象は、消費税の課税事業者が消費者に対して商品やサービスを販売する場合に行う価格表示である。総額表示の対象となる価格表示については、表示媒体は問わない。値札や店内表示はもちろんのこと、新聞折り込み広告やインターネットを使ったホームページやメールについても適用される。ちなみに、具体的表示方法として、以下のような表示は認められない。
  • 税抜き4,800円+税
  • 4,800円税抜き
  • 税抜き4,800円 税240円
●  財務省がQ&Aを公表
  消費税総額表示がスタートして1年となるが、現場レベルでは対応に苦慮することがたびたびある。総額表示について、多くの質問を受けるが、実務上どうしても生じてしまうトラブルや、制度の趣旨が認識されていないために起こる疑問が多い。財務省もそういった現場でのトラブル・疑問を意識してか、このほど総額表示について寄せられた質問をQ&A形式で公表した。その中からいくつか見ていくこととする。
Q
  当社は大手小売業者に商品を納入している中小のメーカーです。総額表示への移行に当たって、大手小売業者から納品価格の消費税相当分を値引きするよう要請を受けました。このような要請についてどのように考えればよいのでしょうか。
A
  総額表示の実施に伴うご質問のような問題に対しては、去る12月3日に公正取引委員会が、『改正消費税法に基づく「総額表示方式」の実施に当たっての独占禁止法及び関係法令に関するQ&Aについて』を公表しております。
  公正取引委員会は、その中で、「取引先の小売業者が取引上優越した地位にある場合には、納入業者と十分協議することなく、値札の変更、税込価格で納品するためのシステム変更、さらには、総額表示に伴う納品価格の引下げや総額表示に伴う従業員の派遣等を強要するようなことがあれば、優越的な地位の濫用として“独占禁止法”に違反するおそれがある」との見解を示しています。
  そのような問題が発生している場合には、公正取引委員会までご相談ください。
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部企業取引課
  これはまさに、実務レベルで起こっているトラブルといえる。
●  見積書や請求書等について
  次の質問は、消費税総額表示の趣旨が理解されていないことによる疑問といえる。
Q
  見積書や請求書等は、総額表示義務の対象ではないのですか。
A
  総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対する(一般的には消費者取り引きにおける)値札や広告などにおいて、あらかじめ価格を表示する場合を対象としていますので、見積書、契約書、請求書等は総額表示義務の対象にはなりません。
  ただし、広告やホームページなどにおいて、あらかじめ“見積り例”などを示している場合がありますが、これは、不特定かつ多数の者にあらかじめ価格を表示する場合に該当しますのでご注意ください。
(注)値札や広告などにおいて税込価格のみを表示している場合には、その税込みの表示価格を基に見積書、契約書、請求書等が作成されるものと考えられます。
  消費者向けの商売をしている経営者は、財務省公表のQ&Aを参考にしながら、消費者に誤解を生じさせない価格表示が求められる。
参考:財務省「消費税『総額表示方式』の概要、主な質問について」
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.04.04
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