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企業の職系列別の賃金の現状
●  同一資格等級に幅広い年齢層が混在
  成果主義などの新しい賃金体系が浸透し、従来の年齢や勤続年数を軸とした年功的な賃金体系が崩れてきている。その中で職種・職務別に賃金がどのように支給配分されているかをみた調査が発表された。
  図表1に見る通り、同一資格等級内であっても年齢のバラツキは大きい。このグラフは各資格等級別に最も若い年齢と最も高い年齢を縦棒の両端、そして平均年齢をプロットしたものである。平均年齢は資格等級に比例するが、年齢の両端を見ると一般職から課長までは幅広い年齢増が在籍している。つまり若手の抜てきと高年齢者の滞留が同時に起き、年功的な昇格が崩れていることがハッキリと示されている。
  このように年齢と等級がリンクしなくなる一方、職種・職務が賃金と連動するのが新しい賃金制度の特徴である。
【図表1 資格等級別の年齢構成】
【図表1 資格等級別の年齢構成】
●  職種系列で賃金の格差が明確に
  この調査では、営業・販売関連、システムエンジニア関連、事務企画関連の3職種系列について、各職種系列の職務ごとに平均賃金を割り出している。
  営業・販売関連職種系列では、営業職U(ルートセールス中心)が30万8,000円、営業職T(新規開拓を含む)が32万8,000円、セールスリーダー(セールスマネージャーのアシスタント)が33万6,000円、セールスマネージャーV(小規模店長)が40万円、セールスマネージャーU(中規模店長)が47万3,000円、そして大規模店長相当であるセールスマネージャーTが53万2,000円となっている。マネージャーになると賃金が一段と高くなる。また後述のほかの2職種系列と比べて平均賃金は高い。企業が営業を重視し、賃金でも報いていることが分かる。
  システムエンジニア(SE)関連職種系列では、オペレーターが25万円、プログラマーが27万1,000円、アシスタントSEが28万1,000円、SEが32万円とほとんど変わらない。プロジェクトリーダーまたは運用管理者が42万6,000円、システムコンサルタントまたはシステムアナリストクラスで48万円となっている。
  リーダー以上になると、賃金の格差がはっきり見られ、二極化している。その一方で系列の両端の職種の賃金格差はほかの職種系列に比べて開きが少ない。これは専門性を重視して処遇される一方、経営層としての位置付けが弱いためかもしれない。
  そして事務企画関連職種系列では、事務職のアシスタントが22万円、事務職で26万2,000円と低く、事務職のリーダーになると41万7,000円と上がる。経営企画職のアシスタントが31万6,000円、経営企画職で39万2,000円、経営企画職リーダーでは51万9,000円と、事務職系列と経営企画職系列では賃金で10万円の差がある。この系列は事務全般であり賃金は総じて高くないが、経営層に近づくにつれて高くなる。
  このように、職種系列において賃金政策に明確な違いがあることが改めて示された。
参考:財団法人社会経済生産性本部「2004年度 能力仕事別賃金実態調査」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.04.11
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