>  今週のトピックス >  No.1012
確定申告書作成 HP利用が急増
●  HP利用が急増400万件に
  今年の所得税の確定申告書は2,000万人以上が提出したとみられる。そのうち、国税庁のホームページ(HP)上で申告書を作成したケースが、申告期限の3月15日までに約400万件(昨年同時期に比べ約2・5倍増)に上ったようだ。
  2002年以前は、税務署などで申告書類を入手し、その書類を手書きしなければならなかった。税務署のこういったIT化の遅れに、特に若いネット世代から不満の声が出ていた。そこで国税庁は2003年、HPに「確定申告書等作成コーナー」を開設。手順に従い収入や経費などを入力、完成した申告書をカラー印刷し、領収書などを添えて税務署へ郵送すれば申告が完了できるようにした。これを使って実際に申告した納税者数は集計できていないが、「アンケートでは好評な意見が多数寄せられた」(国税庁担当者)という。国税庁は、今後も「自宅のパソコンで、申告書作成ができることをさらにPRしていきたい」と、まだまだ潜在利用者数が高いと推測している。
●  電子申告・納税システム
  国税庁のHPで作成した申告書を提出する申告者が増えたとはいえ、だれもがネットを利用しているとは言えない。実際、一般からの不満も多い。しかし、ネットユーザーからは、ネット上ですべてが完結できることに期待が高まっている。
  そこで国税庁は、電子申告・納税システムとしてe-taxシステムを導入した。このシステムは、申告書をそのままネット上で送信できる。しかし、本人確認のための電子証明書の事前取得が必要など、手続きが分かりにくく煩雑なようだ。そのため、今年の確定申告における正確な利用者数は不明だが、多くても数万人程度と予想される。普及にはまだ改善が必要なようだ。
●  セキュリティ問題
  HP上での申告書作成やネットを使った電子申告、電子納税は便利な反面、セキュリティ面での厳重な管理が望まれる。4月1日からは個人情報保護法が施行されるなど、今まで以上に個人情報の管理徹底が求められているが、確定申告情報はその中でも特に厳しい管理が要求される。
  実際、昨年の確定申告では、国税庁のHPにある書式を使い確定申告書を作成・印刷すると、他人の申告書が印刷され個人情報が流出したケースが4件発見され、一時的にサービスが停止された。
  今年はこういったケースはなかったようだが、今後、より一層ネットを使った申告・納税が普及することを想定すると、利用者からの信頼は欠かせない。そのためには、利用者側に安心感を持ってもらうことが必要だ。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.04.11
前のページにもどる
ページトップへ