>  今週のトピックス >  No.1015
退職金・企業年金の現状
●  賃金と退職金の切り離しが進む
  社団法人日本経済団体連合会が隔年で実施している企業の退職金・年金に関する調査結果が発表された。
  団塊世代の大量退職が迫りつつある中、退職給付会計の導入、企業年金の運用利回り低下を受けて、確定拠出年金、確定給付企業年金の新設、厚生年金基金の代行返上、適格退職年金の廃止、厚生年金の給付削減など退職給付をめぐる動きは激しい。
  調査結果によると、「退職金の算定方式については、月例賃金と退職金算定基礎額がリンクしない、つまり賃上げが退職金額にハネ返らない別建ての仕組みになっている」との回答は53.5%(2002年調査は43.2%)と過半数を占めた。別建てのうち、71.3%はポイント方式(勤務期間中に蓄積したポイント累計にポイント単価を乗じて退職金額を算出する方式)、20.9%が別テーブル方式(賃金テーブルとは切り離し、勤続年数などに応じた退職金算定基礎額テーブルにて退職金額を算出する方式)である。ポイント方式は2000年に49.4%、2002年は64.9%、そして今回が71.3%と、その採用割合は年々高まっている。
  一方、賃上額が退職金算定基礎額に「一部」または「全て」ハネ返るが42.0%で、2000年の54.0%から低下している。
●  厚生年金基金から確定給付企業年金への移行が進む
  団塊世代の大量退職に向けた対策として、このような賃金と退職金をリンクさせない方式に移行している。一方、企業年金についても、厚生年金基金、適格退職年金が著しく減少している。
  2002年調査では、回答企業のうち47.0%が厚生年金基金を、77.2%が適格退職年金を採用していたが、今回ではそれぞれ27.6%、58.8%と劇的に減っている。代わって、確定拠出年金が14.9%、確定給付企業年金が26.4%とそれぞれ2年前の2.6%、2.6%から増加している。厚生年金基金の代行返上が進み、その受け皿として確定給付企業年金が採用されていることが分かる。ただし、適格退職年金の減少分に対して、確定拠出年金はそれほど増えておらず、企業年金間で平行移動がスムーズに進んでいるわけではない。その結果、企業年金のない企業が10.5%から13.5%へ増加している。
  厚生年金の給付削減に対して、会社として退職給付面で「見直しをする」とする企業は10.7%に過ぎない。
参考:社団法人日本経済団体連合会「2004年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.04.18
前のページにもどる
ページトップへ