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愛知万博における税制優遇措置
●  愛知万博開幕
  「自然の叡智(えいち)」をテーマとした21世紀初の国際博覧会、愛知万博(愛・地球博)が3月25日に開幕した。愛知万博には国際機関や企業、121の国が参加し、巨大な映像スクリーンや事前完全予約制の「サツキとメイの家」など最先端の技術を駆使したパビリオンが出展されている。観覧車もあれば、会場をぐるりと巡る空中回廊もある。
  35年前の大阪万博の目玉が未来を象徴する「月の石」であったのに対し、愛知万博の目玉はシベリアの永久凍土から掘り出された約1万8,000年前の「マンモス」である。今度の愛知万博のコンセプトは「環境重視」。その意味で環境の変化に対応できなかった「マンモス」の展示は、適切な題材かもしれない。
●  税金の観点
  この愛知万博を税金の観点から眺めてみると、次のような問題点がある。
  • 副会長が17人もいる「万博協会」の存在
  • 約1,350億円を費やしたといわれる会場建設費
  • 万博のために開通された高速道路の建設費が約7,500億円
  巨額の税金が使われたことや、現代において万博の意義はあるのかという視点から、開催前には、多くの万博開催を批判する声が上がった。
  そして、そういった批判を打ち消すかのように、この愛知万博には税制上の優遇措置が施されている。それを紹介する。
●  入場券の取り扱い
  愛知万博にかかわる税務上の取り扱いについては、平成15年7月7日付の事前照会「2005年日本国際博覧会(愛・地球博)に係る費用の税務上の取り扱いについて」(事前照会者 財団法人2005年日本国際博覧会協会)で、次のように定められている。

【入場券の購入費用等については、次による】
(1)法人が販売促進等の目的で当該入場券のみを取引先等に交付する場合の当該入場券の購入費用は、交際費等に該当せず、販売促進費等として処理する。
(2)企業等が従業員の慰安会、レクリエーション等として博覧会を見学させる場合の当該入場券の購入費用及びその見学のために通常要する交通費、宿泊費等については、福利厚生費に該当する。なお、従業員の家族を含めて実施した場合も同様とする。

  つまり、法人が得意先などに入場券を交付する場合、通常ほかのイベント入場券であれば税務上不利な交際費に該当するケースもあるが、愛知万博の入場券については、販売促進費等として処理できる。また、企業で慰安などをかねて入場券を購入する場合でも、源泉所得税が発生する給料扱いではなく、福利厚生費として処理できるというものである。ちなみに愛知万博の入場券は、4,600円(大人)となっている。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.04.18
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