>  今週のトピックス >  No.1017
個人情報保護法対象企業 69.0%が「対策済み」
●  個人情報保護法が完全施行に伴い、企業の対策進む
  2005年4月1日、個人情報保護法が完全施行された。個人情報保護法では、個人情報取扱事業者(従業員などのデータを含めて5,000件超の個人情報を保有する企業:以下、保護法対象企業)に対して、個人データの漏えいなどについての防止策を講ずることを求めている。帝国データバンクがこのほど行った「個人情報保護法に関する企業の動向調査」の結果によると、5,000件を超える個人情報を持つ同法対象企業のうち、4月1日時点で「対策を取っている」と答えた企業は69.0%で、「今後、検討する予定」が28.3%となっている。
●  個人情報保護法の認知度は93.7%
  個人情報保護法施行に関する認知度について調査した結果、「知っている」と回答した企業の割合は93.7%だった。一方、「知らなかった」と回答した企業は全体の6.3%と少数で、個人情報保護法の施行は企業に広く認知されていることが判明した。これは、法律の完全施行以前から数多くの新聞や雑誌で取り上げたことや、過去の情報漏えい事件などの影響もあり、各企業が以前から強く意識していたことも関係していると考えられる。
  業界別に見ると、「金融」の認知度が最も高く構成比98.4%となった。次いで「不動産」(同98.1%)、「小売」(同98.0%)となるなど、10業界すべてで認知度が9割を超えた。保護法対象企業における情報セキュリティへの対策意識は、総じて高いことがうかがえる結果となった。
●  個人情報保護法対象外の企業でも「対策済み」または「検討予定」が5割超に
  個人情報が5,000件以下の保護法対象外企業(7,335社、構成比69.2%)に対して、4月1日時点での個人情報保護への対策について尋ねたところ、「対策を取っている」と回答した企業は7,335社中894社で、構成比12.2%となった。
  全体的には個人情報保護は必要な措置だと感じており、保護法対象外であっても、情報漏えい対策をきちんと実行していこうと考えている企業が多いようである。
  また個人情報保護法の施行に対して、「対策を取っている」と回答した企業2,730社に具体的に取り組んでいる対策について尋ねた結果、社外対応で最も回答数が多かったのは「プライバシーポリシー(基本方針)の作成」で1,894社、構成比69.4%(複数回答、以下同)であった。次いで「担当部署(担当者)の設置」(1,713社、同62.7%)、「個人情報の利用目的の公表」(1,280社、同46.9%)となった。
●  個人情報保護の具体的取り組みとしては「従業員教育」がトップ
  個人情報保護対策として、「従業員教育」に取り組んでいると答えた企業割合が82.4%と、社外対応と社内対応を合わせてみて最も高かった。今後、各企業は、内部からの情報漏えいのリスク回避に力を入れ、より一層管理を強化していかなければならない。個人情報保護法の完全施行からまだ数週間しか経過していないが、明らかに企業の取り組み姿勢が変わってきているのではないだろうか。
参考:(株)帝国データバンク「景気動向調査〜個人情報保護法に関する企業の動向調査〜」
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2005.04.18
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