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明らかになった人材投資促進税制の具体的な内容
2005年度税制改正における数少ない減税項目の一つ「人材投資促進税制」の具体的内容が改正政省令によって明らかになった。同制度の対象となる教育訓練費は、法人がその使用人の職務に必要な技術または知識を習得させ、または向上させるための費用とされ、具体的には政令で定められている。また支出対象の使用人から法人の役員とともに除かれる「特殊の関係のある者」も政令で定められている。
●  対象から除かれる「特殊の関係のある者」とは
  「特殊の関係のある者」は、次のように定められた。
  1. 役員の親族
  2. 役員と婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者
  3. これら以外の者で役員から生計の支援を受けている者
  4. 1.と2.に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族
  制度の対象となる使用人の範囲について政令で具体的に定めたのは、家族的な経営を行う小規模法人などにおける教育訓練費のお手盛り支出を防ぐためと思われる。所得税における同制度の取扱いにおいても、同様の規定が定められている。
●  教育訓練費の範囲を4区分して例示
  次に、教育訓練費の具体的な内容については、(1)法人がその使用人に対して教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものを自ら行う場合、(2)法人から委託を受けた他の者が教育訓練等を行う場合、(3)法人がその使用人を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合、(4)法人が教育訓練等の用に供する教科書その他の教材の購入または製作をした場合の四つに区分して、具体的な対象費用を例示している。
  法人が教育訓練等を自ら行う場合では、講師や指導者に支払う報酬、料金、謝金その他これらに類するものやその講師等の旅費のうち法人が負担するもの、教育訓練等に関する計画または内容の策定について専門家(役員や使用人を除く)に委託したときの支払い、施設、設備その他の資産の賃借費用、コンテンツ(文字、図形、色彩、音声、動作もしくは映像またはこれらを組み合わせたもの)の使用料が対象となる。
  教育訓練等を外部に委託する場合はその委託費用が、また、外部の教育訓練等に参加させる場合は授業料、受講料、受験手数料、その他外部の教育訓練等に支払うものが対象となる。法人が教育訓練等の用に供する教科書その他の教材の購入または製作をした場合は、その購入に要する費用や製作費用が対象となる。
●  確定申告書に添付する教育訓練費の明細内容
  人材投資促進税制の適用を受けるためには、適用年度の確定申告書に必要事項を記載した書類を添付しなければならないとされているが、その明細内容は財務省令で次のように定められている。
  1. 教育訓練等の実施年月日(その教育訓練等が2日以上継続して行われる場合には、その教育訓練等の実施期間)
  2. 教育訓練等の内容
  3. 教育訓練等に参加した使用人の氏名
  4. その費用を支出した年月日、内容及び金額並びに相手先の氏名または名称および住所もしくは居所、または本店もしくは事務所の所在地
  5. その他参考となるべき事項
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2005.04.18
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