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公募投資信託40兆円回復は単なる通過点なのか!?
  先日、社団法人投資信託協会から2005年3月末の投資信託に関して注目されるデータが発表された。
  アメリカの経済赤字、イラク情勢、そして投機マネーによる原油相場の混乱など、世界経済への不安要素は現在も解決されないまま存在しているものの、個人投資家にとっては、ある程度想定内のことであり、個人投資家の資産運用熱はさらに高まっているようである。
●  3年ぶりの40兆円回復
  注目点の一つは、投信信託の年度末での純資産残高が3年ぶりに40兆円を回復、しかもその要因が、公募株式投資信託の純資産の大幅な増加(約5兆6,000億円増)であることである(図表1)。
【図表1 公募投信信託純資産残高】
【図表1 公募投信信託純資産残高】
(社)投資信託協会調べ
●  公募株式投信躍進を支える銀行窓販
  この公募株式投資信託の順調な残高増加をもたらしているのは、言うまでもなく、銀行窓販の増加によるところが大きい。銀行窓販の増加の様子をグラフ化した図表2を見ると、銀行窓販における株式投信の増加額がよく分かる。
【図表2 銀行窓販純資産残高】
【図表2 銀行窓販純資産残高】
(社)投資信託協会調べ
  このように、銀行窓販による公募株式投信は年々その残高を着実に伸ばしており、2005年3月末の公募株式投信の純資産残高に占める銀行窓販のシェアが、ついに48.3%に達した。今年中に銀行窓販のシェアが、悲願の50%を超えるのは確実と言えるだろう(すでに私募の株式投信も含めた全体の株式投信における銀行窓販のシェアは2005年3月末で53.7%に達している)。
●  銀行窓販を牽引する毎月分配型タイプ
  この銀行窓販の公募株式投信の増加を支えている具体的な商品は、言うまでもなく「毎月分配型」の投資信託である。公募株式投信における2005年3月末の純資産残高の内訳を示した図表3を見れば、国内株式型を大きく上回るその人気がよく分かるのではないだろうか。
【図表3 公募株式投信の2005年3月末純資産残高の内訳】
単位:億円
代表的な公募投信の型
05年3月末純資産残高
前月比増減額
毎月分配型
83,604
3,767
国内株式型(アクティブ型)
50,627
△587
国内株式型(インデックス型)
43,398
△1,979
(社)投資信託協会調べ
  そして、購入者の多くは、公的年金の不足分に対して、このタイプを購入し、毎月の分配金でその不足分を補なっている高齢者である。そのため、公的年金の増額が望めない状況下に加え、団塊の世代が大量に定年を迎える今後は、この毎月分配型タイプの販売額、ひいては銀行窓販の公募株式投信の純資産残高、そして投信全体の純資産残高は順調な増加をしていく可能性がかなり高いと言える。
  その点を考えれば、今回の純資産残高40兆円台回復は、今後、日本で投資信託の残高が増加していく単なる通過点に過ぎないのかもしれない。
  投資信託協会のホームページには、投資信託に関するさまざまな情報が掲載されているので、興味がある人は是非アクセスするとよい。
参考:社団法人投資信託協会ホームページ
2005.04.25
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