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15年目迎えた国民年金基金の現状
●  まだある普及の余地
  国民年金基金は、自営業者の老後生活資金の確保およびサラリーマンとの年金額格差の解消を目的として1991年に創設された。今年で15年目を迎える同制度の現状を見てみよう。
  1991年の創設後、地域型は全国47都道府県で設立、職能型は25業種で設立された。その後、低金利状況にあわせて1995年と2000年に予定利率が引き下げられ、また、2000年には掛金率が男女別に設定されるようになった。
  2004年3月末における累積加入者数は、職能型で19万5千人、地域型で114万1千人、合計して133万6千人となっている。なお、脱退者を除いた現在の加入者数は78万9千人である。国民年金の第1号被保険者は2,100万人であることから、まだまだ普及の余地は大きいといえる。
  加入者の年代別割合は、20歳代が5%、30歳代は22%、40歳代は30%、50歳代は43%と、年齢層が高くなるほど加入者の割合が大きいことが分かる。なお、加入者の平均年齢は45.9歳である。
  加入者の平均加入口数は、1口目のほかに2.6口、合わせて3.6口となっている。なお、地域型の平均が3.3口なのに対し、職能型は5.1口であり、職能型の掛け金額の高さが目を引く。それでも掛金月額は平均で20,571円、職能型でも24,756円にとどまり、制度の限度額である68,000円には遠く及ばない。
  加入者数、掛け金額ともまだまだ普及・拡大の余地が大きい。
●  積立不足の改善
  国民年金基金全体の年金資産は1.84兆円。一方、将来年金を支払うために現時点で必要と計算される責任準備金額は2.27兆円で、現時点での積立不足は4,268億円に及ぶ。これは2000年度から2002年度の3年連続で年金資産の運用利回りがマイナス(2000年度▲9.9%、2001年度▲4.0%、2002年度▲14.2%)になったことが原因である。
  年金資産は制度創設当初は生保会社と信託銀行が運用を受託してきたが、2000年度から生保の予定利率引き下げを機に運用委託分のほとんどが投資顧問に委託された。折悪しく株価低迷期とぶつかり運用利回りマイナスに至ったが、2003年度には19.1%と回復している。また加入者の平均年齢が45.9歳であることから、年金支給が本格化するまでの期間もまだ長く残されており、長期的視点に立った年金資産の健全性回復の方策が望まれる。
参考:国民年金基金連合会HPほか
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.05.02
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