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国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」のポイント
●  源泉所得税改正のポイント
  「源泉所得税の改正のあらまし」が国税庁より発表された。給料の支払いがある会社や個人事業者にも発送されているので、お手元に届いているという方もいるであろう。この各事業者にも届けられた「源泉所得税の改正のあらまし」には、給料ごとの源泉徴収税額表も添付されているので、今後給料計算時に活用できるであろう。
  今回の改正の主なポイントは次の通りである。
  1. 平成18年1月から源泉徴収税額表が変わる。
  2. 社会保険料控除を受ける場合には、新たに添付書類が必要になる。
  3. 住宅借入金等特別控除の適用対象に一定の中古住宅が追加された。
  4. 租税条約の届出書への居住者証明書の添付要件が緩和された。
  5. 平成17年1月から老年者控除が廃止されている。
  この中でも、平成18年1月からの新源泉徴収税額表と老年者控除の廃止について詳しくみていくことにする。
●  来年1月から源泉徴収税額表が変わる!
  源泉徴収税額表が変更される理由は、「定率減税の額の引き下げ」だ。平成17年までの定率減税制度は、所得税額の20%相当額を控除するもので、20%相当額が25万円を超える場合には、25万円が上限となっている。同様の制度はこれと連動する形で住民税にも適用されている。これに伴い、平成18年1月1日以後に支払うべき毎月(毎日)の給与や賞与の源泉徴収の際に使用する税額表が、定率減税の額の引き下げを織り込んだものに改められることとなった。また、同様に平成18年1月1日以後に支払うべき公的年金等に対する源泉徴収税額の計算方法も改められることとなった。
  新源泉徴収税額表は、今年10月中頃に全国の各税務署に配備され、あわせて、国税庁ホームページにも掲載の予定。そして各事業者には、今年12月頃に配布予定の「平成18年分 年末調整のしかた」に新税額表が添付されることになっている。
  定率減税の額の引き下げによって、ほとんどの方の毎月の給料や年金の額の手取りが減少することになる。
●  今年1月から老年者控除も廃止されている!
  平成16年改正によって、今年1月以後、老年者控除が廃止されている。老年者控除とは(現在は制度自体がなくなっている)、年齢が65歳以上で合計所得金額が1,000万円以下の人に対して年間50万円の所得控除を認めていた制度のことである。
  この廃止に伴い、源泉徴収税額表の甲欄を適用する際の扶養親族等の数について、本人が老年者に該当する場合に1人加算して税額を計算する措置は、平成17年1月1日に支払うべき給料から適用がなくなった。
  定率減税の額の引き下げと老年者控除の廃止。ともに、毎月の給料や年金の額を減少させる結果となっている。増税の足音が、じわじわと一般庶民にも響いてきた感じだ。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.05.02
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