>  今週のトピックス >  No.1031
制度発足から3年半、確定拠出年金の現状は?
●  普及速度は堅調かつ緩やか
  確定拠出年金制度は2001年10月に創設されて、既に3年半を経過した。厚生労働省が定期的に開催している連絡会の資料をもとに最新の普及状況を確認してみたい。
  2005年1月末において承認された規約数は、1,260規約となっている。複数の企業が1つの規約で実施することもできるので、実施企業数は3,791社となっている。昨年同期比では規約数で1.78倍、企業数では1.80倍である。ちなみに2002年4月から始まった確定給付企業年金は、2005年1月末時点で1,142件である。
  確定拠出年金と実施する企業数の伸びは堅調ではあるが、制度発足当初に予想されたほどの急速な普及は見られていない。
  2004年10月から掛金拠出限度額の引き上げ(企業型で他の企業年金を同時実施している企業では18,000円から23,000円へ5,000円の引き上げ、他の企業年金を実施していない企業では36,000円から46,000円へ10,000円の引き上げ、個人型の第2号加入者では15,000円から18,000円へ3,000円の引き上げ)や適格退職年金などからの移換の際の移換限度額が撤廃されたが、確定拠出年金の普及に対してはその効果はまだ十分ではないようだ。
●  確定拠出年金のみの企業が過半数
  実施企業を規模別にみると、3,791社中、100名以下が2,174社と過半数を占めている。一方で1,000人以上の企業も375社あり、企業規模を問わず導入されていることが分かる。
  掛け金額(月額)は平均で13,566円であり、拠出限度額からみればまだまだゆとりがあることが分かる。
  2005年1月末において承認された1,260規約の発足の内訳は、適格退職年金から年金積立金を移換して発足したものが493規約、退職金制度からの移換が170規約、適格退職年金と退職金制度両者を取り崩しての移換が174規約となっている。そのほか、他の企業年金制度からの移換が21規約ある。一方、退職金も企業年金からの移換もなく確定拠出年金を発足したものが379規約ある。これは他の退職金制度や企業年金制度がまったくない企業が確定拠出年金を開始したケースと、既存の退職金制度や企業年金制度に手をつけることなく新たに確定拠出年金制度を発足させたケースが含まれる。
  確定拠出年金を導入している企業に他の企業年金制度が併存しているかについては、1,260規約中、他の企業年金がない企業が712規約にのぼる。これは退職金制度と確定拠出年金があるか、または中退共と確定拠出年金制度があるか、または確定拠出年金のみかのいずれかである。
  なお、個人型は2005年1月末時点で第1号加入者が19,481人、第2号加入者が22,866人となっており、まったく低調なままである。
参考:厚生労働省「確定拠出年金連絡会議(第13回)」など
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.05.16
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