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非営利法人に対する税制は懲罰的に
〜政府税制調査会が検討開始〜
●  政府税制調査会が検討開始
  首相の諮問機関である政府税制調査会(石弘光会長)は、このほど非営利法人に対する税制のあり方について議論を開始した。業務内容に疑義がある、または透明性に欠くなどの理由で公益性がないと判断された非営利法人に対しては、税制上の優遇措置を過去に遡り撤回することなども検討されているという。つまり、公益性を認められなくなった非営利法人に対しては、法人税の減免措置を打ち切ったうえで、さらに過去に遡り減免された税額分も追徴課税するということになる。
  これは政府が進めている公益法人制度改革の一環で、2005年度中に税制を含む公益法人改革の具体案を最終決定し、2006年にも関係法案の国会提出を図りたい考えだ。
●  寄付金税制見直しの動きも
  現在の財団、社団法人の優遇税制は、「法人税の軽減」と、「寄付金税制」の2本柱で構成されている。その一方の柱である「寄付金税制」について、改正の動きがある。寄付金税制は現在、約26,000の財団法人や社団法人のうち、所管閣僚が「特定公益増進法人」と認定した約900法人について、寄付をした個人や企業に所得控除や費用計上を認めている。
  政府の公益法人制度改革は、元来「官」が握っていた公益性の判断を、「民間」に移すのが狙いである。そのため今回の見直しでは、有識者委員会が「公益性有り」と判断すれば、その非営利法人は自動的に寄付金の優遇措置(所得控除や費用計上)を適用できることになるようだ。非営利法人の活動を支援するために、「非営利法人への寄付をしやすいように、税制面でバックアップすべきだ」との意見が多いことに配慮した格好だ。2007年度以後の移行を予定している。
●  NPO法人について
  ところで、今話題のNPO法人(特定非営利組織法人)は、政府の公益法人制度改革の対象になっていないため、寄付金税制などのあり方は別途議論することになっている。現在は、約20,000以上のNPO法人が存在しているが、2005年3月末現在、寄付者が優遇措置を受けられる「認定NPO法人」はわずか30法人に過ぎない。
  どちらかというと大きな組織である財団法人や社団法人だけではなく、草の根的な活動で社会に貢献するNPO法人にも、ぜひ光を当ててほしいものだ。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.05.16
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