>  今週のトピックス >  No.1033
中小企業はフリーターの“救いの神”?
●  「ニート」85万人の大問題
  日本の失業率は、1990年代に上昇し、2002年に5.4%に達した後、改善傾向にあるが、15-24歳の若年者の失業率はその後2003年の10.1%まで上昇し、現在も高い水準にある。しかし、この数字には現在約85万人いるといわれている「ニート」は当然含まれていない。「ニート」は、従来の就業支援策からこぼれ落ちてきた存在であり、現在大きな社会問題としてクローズアップされ、メディアでもよく取り上げられている。
  政府もこの問題への関心は強く、多額の予算を投入して改善策を模索している。その代表的なものの1つとして「ジョブカフェ」があげられる。「ジョブカフェ」とは、若者向けの就職支援センターのことで、各都道府県が国の援助を受けて設置しているもの。従来の公共職業安定所や職業訓練校とは異なり、若者の就職相談から職業訓練・研修、就職、職場定着までの一貫したワンストップサービスが大きな特長である。利用者の声を聞くと、「明るく、親しみやすい」という意見も多いが、「ジョブカフェ」が「ニート」の減少に大きく貢献しているとまでは残念ながらまだいえないのではないだろうか。
●  中小企業はフリーターを積極的に採用すべき
  正社員ではないアルバイトやパートタイマーなどの非正社員、いわゆるフリーターの数も増加している。しかし、新卒者の採用が困難な中小企業にとっては、こうしたフリーターの増加は、逆に若年者を採用する機会が増えているということでもある。
  実際に以前はフリーターであったが現在は正社員である者は、中小企業で就業している割合が高く、日本労働研究機構「大都市の若者の就業行動と意識」(2001年10月)によると、フリーターを経て正社員となった者の現在の就業先の規模は、従業員数が29人以下の企業が44.2%、30〜99人が20.0%、100〜299人が15.8%、300〜999人が3.3%、1,000人以上の企業が10.8%となっている。フリーターの採用は中小企業が若年者を確保する際の1つの大きな手段となるだろう。採用に関しては頭を悩ませている中小企業が多いが、今後労働力が高齢化していく中で「ニート」やフリーターなどの若年者を正社員として雇用し、事業を継続させていく必要があるのではないだろうか。
【フリーターを経て正社員になった者の勤務先規模】
【フリーターを経て正社員になった者の勤務先規模】
出所:日本労働研究機構「調査研究報告書No.146 大都市の若者の就業行動と意識」(2001年10月)
参考:中小企業庁「中小企業白書」
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2005.05.16
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