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地方分を含まない消費税中間申告の判定の年税額
●  前課税期間の年税額が48万円以上は中間申告が必要
  消費税の申告・納付期限は、個人事業者の場合は課税期間の翌年の3月末日、法人の場合は課税期間の末日の翌日から2カ月以内とされている。3月決算法人であれば5月31日が納付期限となる。ただし、これは前課税期間の消費税の年税額が48万円以下の場合で、48万円を超えると年税額に応じて1〜11回の中間申告が必要になる。注意が必要なのは、これを判定する年税額には地方消費税分が含まれていないことだ。
  したがって、中間申告が必要のない前課税期間の消費税の年税額は、地方消費税も含めれば60万円以下ということになる。年税額が48万円を超え400万円以下の法人は年1回の中間申告が必要だが、地方消費税を含めて49〜60万円の年税額の法人は年1回の申告・納付でいいわけだ。一般的に消費税額というと、地方消費税も含めたところで考えがちなので、勘違いしてしまうケースも少なくない。
  上記の年税額が48万円を超え400万円以下の法人の年1回の中間申告・納付期限は、中間対象期間の末日の翌日から2カ月以内である。3月決算法人であれば11月30日となる。中間納付税額は、計算の基となる年税額には地方消費税分が含まれていないので、前課税期間の消費税の年税額の1/21.25を乗じたものとなる。
  そのほか中間申告の回数については、前課税期間の消費税の年税額が400万円を超え4800万円以下の法人は年3回、4800万円を超える法人は年11回となる。年11回の中間申告が必要な法人の納付期限は、その課税期間開始後の1月分は、その課税期間開始の日から2カ月を経過した日から2カ月以内とされている。つまり、3月決算法人であれば、4月分は5月分と同じ7月末日ということになる。
●  毎月還付も可能になる消費税の課税期間短縮の特例
  年11回の中間申告は、2003年度の税制改正で設けられたもので、消費税は預かり金的な性格があることから、いわゆる運用益問題の解消に資するとの考えから改正されたといわれている。年11回の中間申告は、個人事業者は2005年分から、法人は2005年3月決算分からすでに適用されている。それまで最大3回で済んでいた中間申告が一挙に11回となると納税者の事務負担も増大するが、それ以上に大変なのは納税資金の手当てである。
  実際のところ、前課税期間の納付実績どおりに預かる消費税があれば問題はないが、業績が思わしくなく、当期の消費税が大幅に減少していることも珍しくはないだろう。その場合、その差額の納付税額を手当てしなければいけないことになる。そこで、2003年度税制改正では、それまでの課税期間を3カ月に短縮する特例に加え1カ月を選択することができるように改正されている。
  この課税期間短縮の特例を利用すれば、年1回とされていた還付制度を、課税期間(確定申告回数)に応じて年に数回受けることも可能になる。年1回の確定申告よりも事務処理に手間がかかることになるが、企業側にとっては資金繰り面で有利になるといったメリットもある。ただし、短縮の特例をいったん選択した場合は、事業を廃止した場合を除き、2年間は変更できないので留意が必要となる。
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2005.05.16
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