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氷河期脱した就職戦線
〜今春卒業生の就職状況調査〜
●  学生の就職環境は確実に回復
  この春、学校を卒業した大学、短大、専修学校、高校卒業生の就職状況を厚生労働省、文部科学省が調査した。ひと頃の就職氷河期を呼ばれた時期と比べて就職環境は確実に回復している。
  まず、この春の学校卒業予定者数は、大学生では男女合計して約55万人である。うち就職希望者は約37万人となっている。短大卒業は約10万人で就職希望者は約8万人、専修学校卒業は約28万人で就職希望者は約25万人である。高校卒業予定者のうち求職者数は約18万人となっている。
●  大卒女子も男子並みの高就職率
  これらの就職希望者、求職者の就職率は、下の図表に見るとおり2004年度(2005年3月)卒業予定の大学男子で93.3%(前年比0.3ポイントの改善)、大卒女子は93.8%(前年比0.6%)と女子大生も男子並みの就職率となっている。しかし、短大(女子のみ)は89.0%(前年比0.5ポイントの低下)と大学生とは格差がついている。
  専修学校は92.5%、高校生は94.1%となっている。
  大学について詳しくみると、国公立の就職率は94.0%、私立は93.4%と大きな差は見られない。文理別では文系が93.3%であるのに対し、理系が94.4%と、理系がやや就職有利となっている。
●  就職率に大きな地域格差
  地域別に見ると関東地区95.3%、近畿地区94.2%、中部地区94.0%に対し、北海道・東北地区が87.6%、中国・四国地区が91.2%、九州地区が91.7%と就職率に大きな格差がついている。企業の都市部への集中と地域経済の回復の遅れ、または公共事業への依存の影響と推測される。
  今年の採用も昨年に比べて採用枠が増えていたはずだが、就職率はさほど変わっていない。これは人物の採用水準が就職氷河期のまま高止まりしているためではないか。また、バブル期の大量採用社員が企業の重荷になり始めており、その反省からも頭数をそろえるだけの採用は行われないと思われる。そのため、採用枠が増えても就職率は今後も今年の水準から大きく変わることはないのではないか。
【卒業学歴別の就職率推移】
【卒業学歴別の就職率推移】
出所:厚生労働省「平成17年3月高校・中学新卒者の就職内定状況等(平成17年3月末現在)について」
厚生労働省、文部科学省「平成16年度大学等卒業者就職状況調査(平成17年4月1日現在)について」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.05.23
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