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払う時も貰う時も有利!
〜小規模企業共済制度に注目〜
●  小規模企業共済制度とは
  「小規模企業共済制度」は、小規模企業の個人事業主または会社などの役員が、事業を廃止した場合や役員を退職した場合などに、小規模企業者の相互扶助の精神に基づき、小規模企業者同士が自ら資金を拠出して行われる共済制度のこと。小規模企業者は、通常退職金というものが無いので、その原資として各人が掛け金を負担し、いざという時のために備える制度である。
  いわば、国が創設した「小規模経営者のための退職金制度」という側面があり、税法上様々なメリットがある。まず、「小規模企業共済制度」に支払う掛け金は、全額所得から控除できるほか、退職・廃業などで共済金を受け取る際にも、退職所得や公的年金などの雑所得扱いとなり、有利である。
  以下、そのメリットと加入資格について説明したい。
メリット(1)〜支払う時に節税となる
  この制度の掛金は、所得税法上「小規模企業共済等掛金控除」として、各年の課税対象となる所得金額から控除することができる。これは、会社の経費にできるということではないが、個人の所得計算上、経費にできるということ。つまり、年末調整または確定申告時に、各人の所得税を計算する上で経費にできるということである。ただし、年末調整または確定申告時には、その掛け金を支払ったということの証明のために、中小企業基盤整備機構(中小機構)発行の「小規模企業共済掛金払込証明書」が必要である。これは、年末の12月ぐらいに掛け金支払い者に中小機構より送付されてくる。
  ちなみに、1年分を前納した場合にも、その支払った前納掛金の全額を支払った年の掛金として所得控除することができる。毎月の掛金は、1000円から7万円までとなっており、500円単位で選択することができる。
メリット(2)〜受け取る際にも節税となる
  個人事業の廃止や会社などの解散、役員の死亡による退職、老齢給付などにより共済金を受け取る場合、一括受取り共済金については「退職所得」扱い、また分割受取り共済金については「公的年金等の雑所得」扱いとなる。(※受け取り方法によっては一時所得扱いとなる場合などがあるため、詳細は末尾の中小機構ホームページを参照)
  税法上、退職所得や公的年金等の雑所得扱いの場合は、控除などが多くなり、結果として節税となる。
加入資格
  「小規模企業共済制度」は、かなり有利な制度であるので、中小機構発表によると加入累計件数が440万件にのぼっている。しかし、誰でも加入できるわけではない。
  最後に加入資格についてみておきたい。
  1. 製造業、建設業、運輸業、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
  2. 商業(卸売業・小売業)またはサービス業を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主又は会社の役員
  3. 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  ――などとなっている。
  「小規模企業共済制度」は、経営者個人の節税対策として使えるので、加入を検討してみてはいかがであろうか。
参考:中小企業基盤整備機構ホームページ
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.05.23
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