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TOPIXへの浮動株比率の反映と参考東証株価指数
●  変更されるTOPIX算出方法
  東証株価指数(以下TOPIX)は、東京証券取引所が、昭和43年1月4日時点の東京証券取引所一部上場企業全体の株式時価総額を基準として、現在の東証一部の時価総額がどれくらいの価値となっているかを算出し公表する株価指数である。そのため、TOPIXは、日本の株式市場の動向を示す代表的な株価指数といわれている。
  このTOPIXの算出法に関して、浮動株比率を反映させるという変更が、来年の6月まで順次行われることになっている。そのため、今年の4月末より、参考東証株価指数という聞きなれない株価指数が東京証券取引所から公表されている。この参考東証株価指数とは、浮動株比率をすべて反映させた場合のTOPIXのことであり、ひとことで言えば来年6月以降の新しいTOPIXのことである。
●  浮動株比率反映の基本的ポイント
  そこで、今回は、今後何かと話題に登場する可能性があるTOPIXの浮動株比率の反映について基本的なポイントを押さえておくことにする。
1.TOPIXへの浮動株比率反映の理由とは
  株式には、一部の株主に固定的に保有されているため株式市場に流通しにくくなっている固定株と、上場株式から固定株を除いた浮動株に区分される。つまり、株式市場で通常流通している株式≒浮動株といっても過言ではないのである。
  しかし、現在のTOPIXは、固定株と浮動株の合計時価総額をもとに算出されている。そのため、TOPIX連動の投資信託に多額の購入注文が入ると、固定株比率の高い株式の場合、流通している浮動株が少ないにもかかわらず、多額の購入注文により、実態以上の株価急騰など価格形成に著しい不均衡が起こるという課題があった。
  株式数からあらかじめ固定株数を除外し、浮動株のみをもとにした指数とすることで従来の価格形成不均衡を解消できるため、この浮動株比率反映が行われることになったのである。すでに米国、ドイツ、フランス、イギリスなどの代表的な株式指数もすでにこの反映が行われていることからも、浮動株比率反映は国際化の流れといえる。
2.反映のスケジュール
  TOPIX連動のインデックスファンドは、国内の投資家にとって最も代表的なファンドの一つであるため、その運用資金は莫大である。この反映を一気に行えば、株式市場へ重大な影響を及ぼすことになる可能性もある。この理由から、移行は3回に分けて段階的に実施される。
 
初回
第2回
最終
移行時期
平成17年10月末
平成18年2月末
平成18年6月末
移行割合
1/3
1/3
1/3
  例えば、固定株比率30%・浮動株比率70%の銘柄Aがあった場合、固定株比率30%であるため、毎回その1/3である10%ずつ調整されていくことになる。
3.浮動株比率の決定と見直し方法
  浮動株比率は、東京証券取引所が決定する。その際は、有価証券報告書など上場会社の公表資料をもとに算出され、0.01〜1.00の数値で決定される。また、決算時期に応じた年1回の定期的見直しと第3者割り当てなど東京証券取引所が定める一定の事例が発生した場合に行われる臨時見直しが行われる。
4.銘柄ごとの浮動株比率などの情報入手
  東京証券取引所では、すでに銘柄ごとの浮動株比率の公表を行っている。詳しい情報を入手したい方は、末尾の東京証券取引所ホームページへアクセスしてみてほしい。
  TOPIXに連動を目指すファンド、いわゆるTOPIXのインデックスファンドは数多く存在し、そのファンドに投資される資金も、個人投資家の資金だけでなく機関投資家の運用資金や企業年金、公的年金の年金マネーなど幅広い資金に及んでいる。そのため、このTOPIXの浮動株比率の反映という変更は、個人投資家や機関投資家などに少なからず影響を与える大きな出来事である。よって、来年6月の移行完了までは通常のTOPIXだけでなく、参考東証株価指数の動向もあわせて定期的なチェックが必要といえるであろう。参考東証株価指数や浮動株比率の確認などに関しては、以下のURLにアクセスすると詳しい情報が掲載されているため是非参考にしてほしい。
出所:東京証券取引所(参考東証株価指数):http://www.tse.or.jp/news/200504/050428_a.html
2005.05.23
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