>  今週のトピックス >  No.1045
「報酬を得るための場」から「自分を高めるための場」へ
〜新入社員の“企業観”に変化?〜
●  入社動機トップは「事業の優位性や成長性」
  給料よりも事業内容で会社を選ぶ――。経営コンサルティング会社、リンクアンドモチベーション(東京・中央)が新入社員を対象に行った意識調査でこんな傾向が明らかになった。入社動機を尋ねた項目では「会社の事業の優位性や成長性」が1位となり、「給与水準が高く休日休暇制度も充実している」(10位)や「会社の財務状態や顧客基盤が安定している」(12位)は低い順位にとどまった。会社が「報酬を得るための場」から「自分を高めるための場」になりつつあると同社は分析している。
●  知名度にはこだわらないのが“イマ風”?
  調査はリンクアンドモチベーションの新入社員研修を受講した約2300人を対象に、今年4月に実施。各設問に対し1点〜5点の点数をつけ、その平均値を算出した。
「あなたが就職活動をした時に会社を選ぶ基準として重要視したものは何ですか?」という問いに対して最もポイントが高かったのは前述の通り「会社の事業の優位性や成長性」という回答で4.10ポイント。以下、「会社の理念に共感できる」(3.89)、「会社の当面の戦略や方向性に共感できる」(3.79)、「会社の事業に社会的影響力があり、社会的意義や貢献感が感じられる」(3.74)の順に続いている。
一方、一番ポイントが低かったのは「研究施設や開発環境が充実している」で2.76ポイント。以下、「会社が業界内で影響力があり知名度や話題性がある」(3.20)、「勤務地が事業活動に適した場所にある」(3.24)、「理想となる上司や先輩がいる」(3.27)の順だ。
企業の事業内容、成長性、理念、戦略、社会的意義への関心が高く、施設や知名度、勤務地や上司は二の次という"当世若者気質"の傾向が浮き彫りとなった。
●  <自己>へ回帰する企業マインド
  調査元のリンクアンドモチベーションでは、今回の調査結果について、年功序列や終身雇用といった従来の勤務・給与体系が変化し、成果主義や転職が一般化していることと密接なつながりがあると分析している。
  高度成長期に働き手を確保したい企業側は社員に対して終身雇用を確約し、年功序列の賃金で将来の給与を保証することで社員に報いてきた。
  ところが低成長期に入り、金銭的にも満たされた時代になると、社員のニーズは賃金からやりがいに変化。会社は報酬を得るところから、自分を高める場に変わりつつあるという。
  こうした意識の変化が新入社員の会社に対するマインドにも影響を与えているようだ。
2005.06.06
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