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投資商品を一元的に規制
〜「投資サービス法」の検討状況〜
●  今月中に取りまとめ来年度の成立めざす
  経済の成熟化、人口の高齢化を背景にした資産形成ニーズが多様化し、また金融技術やITの進展によって、法規制の対象にならない金融商品が出現している。その一方で多様な金融商品を提供する会社は、複数の金融関連法によって規制されている。こうした状況をふまえて投資商品を一元的に規制する投資サービス法の立法化が金融審議会で検討されている。6月中に取りまとめ、来年の通常国会に法案を提出・成立を目指している。
  現状の金融法制は、銀行法、証券取引法、金融先物取引法、抵当証券業法、保険業法など金融機関に対する規制が中心であった。その一方、匿名組合、金利・為替スワップ取引、病院債・学校債は規制法がない。今回、立法化が検討されている投資サービス法(金融サービス・市場法)が成立すれば、金融・投資商品の販売・勧誘ルールなどが一元的に規制されることになる。
●  変額年金も投資商品として位置づけ
  金融機関等に対する業法として、銀行法、保険業法は残るものの、それ以外の証券取引法や金融先物取引法、商品ファンド法などは投資サービス法に吸収される形となる。同法で規制される金融商品は、大きく「投資商品」としてくくられる。
  投資商品に含まれる範囲としては従来から証券取引法の適用対象になっている株式や社債、みなし有価証券、有価証券デリバティブ取引のほか、現在法律上の規制のない各種法人・組合への出資持分、スワップなどを含むデリバティブ取引、流通性のある金銭債権などの権利や取引なども対象となる。また、抵当証券、信託受益権など証券取引法以外において規制対象となっている商品も対象となり、デリバティブ預金や変額保険・変額年金も投資サービス法の対象になる予定である。
●  保険会社は保険業法と新法から規制
  一方、販売業者の業務は、投資サービス業として位置づけられ、(1)販売・勧誘(売買、仲介、引き受け、売り出し、多角的取引システムの運営)、(2)資産運用とその助言、(3)アセットマネジメント――がその対象となる。
  また、投資サービス業ではないが、格付け機関や証券アナリストなども規制対象となる可能性がある。保険会社や銀行も当然、投資サービス業としてみなされる。金融販売業者の規制も同法で行われるため、金融商品販売法も新法のなかに取り込まれ、さらに、証券投資顧問業法や投資信託法人法も新法に組み込まれることになる。
参考:第31回金融審議会金融分科会第一部会議事次第
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.06.13
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