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8割の企業が喫煙対策を実施
〜オフィス喫煙の実態浮き彫りに〜
●  全面禁煙はなお1割にとどまる
  オフィスでは、たばこを吸う人も吸わない人も、ストレスなく過ごせる環境でありたいものだが、そんな"たばこ"をめぐる問題で5月30日、厚生労働省が「職場における喫煙対策の取組み状況に関する調査」の結果を発表した。それによると、82.3%の事業所で分煙や禁煙などの喫煙対策が講じられていた。しかし、調査結果では、まだまだ万全の対策ができているとはいえない実態が浮き彫りになっている。
  喫煙対策に取り組んでいる事業所は、前述の通り82.8%と比較的高い割合。喫煙場所については、「喫煙場所を設けそれ以外の場所での喫煙を禁止している」が92.2%と圧倒的だが、設けられた喫煙場所のうち「換気扇のある喫煙室などで喫煙することとしている」になると62.6%、「事業場全体を禁煙としている」に至っては10.2%にとどまっている。
●  喫煙ルールは不可欠の存在
  喫煙のためのルールを設けている事業所は全体の80.5%。このうち、管理者が喫煙のためのルールに従っていない者に対して、適切な指導を行っているとした事業所は85.6%と高い数字が出た。喫煙のルールを、会社の就業規則の一部としてきちんと定め、その周知を徹底していくのが一番良い方法であろう。たばこを吸う人と吸わない人では、それぞれの考え方があり、その調整は微妙に難しいのが実情。その意味でルールの役割は非常に大きいのではないだろうか。
●  「健康増進法」が分煙の流れ後押し
  平成15年5月の「健康増進法」施行以来、受動喫煙(たばこを吸わない人が他人のたばこの煙を吸わされること)の防止に努めることは企業の責任とされる時代になった。法律施行後、各企業は受動喫煙の防止のために分煙化などによる対策を独自に講じてきたが、他社の動向を知るうえで、今回の調査は大いに参考になったに違いない。
  健康増進法の施行を受け、厚生労働省は平成15年5月に新たな「職場における喫煙対策のためのガイドライン」を公表しているが、そのポイントは以下のとおりである。
【新ガイドラインのポイント】
  1. 非喫煙場所にたばこの煙が漏れない喫煙室の設置を推奨
  2. たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式の喫煙対策を推奨
  3. 喫煙室等に向かう風速を0.2m/s以上とするように必要な措置を講じること
●  喫煙ルームの意外な効用
  分煙化の代表的事例である喫煙ルームは、オフィスからタバコの煙と臭いを一掃するだけでなく、気分転換やリフレッシュを促進するリフレッシュコーナーとしても機能しているようだ。また社内コミュニケーションを活性化し、オフィスの創造性を高めるという重要な役割も果たしているということも忘れてはならない。
  喫煙対策に何らかの取り組みを行っている事業所は約8割にのぼるが、受動喫煙を確実に防止する対策としては、まだ不十分のところもみられる。また喫煙室設置のスペースがない、社内の合意が得られないといった理由で、対策の取り組みが遅れている事業場もあるようだ。今後、各企業が工夫をこらしてどのような対策を講じていくのか、大変興味深いところである。
健康増進法(厚生労働省 2003,5,1施行)
第25条 受動喫煙の防止
学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
参考:厚生労働省「職場における喫煙対策の取組み状況について」
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2005.06.13
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