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広がるプライバシーマーク認定企業
〜個人情報保護へ高まる関心〜
●  認定企業は1,500以上に急増
  個人情報保護法の本格実施などに伴い、プライバシーマークを取得する企業が増えている。昨年11月時点で1,000社だった認定事業者数は、今年の6月には1,500事業者を超えて1,590社に達した(6月20日現在)。わずか半年で1.5倍に増えた勘定になる。
  プライバシーマーク制度は、JISQ15001(個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラムの要求事項)に準拠して個人情報を適切に取り扱っている民間事業者にプライバシーマークの使用を認める制度で、当時の通産省の旗振りにより1998年4月に始まった。プライバシーマークの付与は、実際には(財)日本情報処理開発協会および同協会が指定した4つの社団法人、財団法人が行っている。
  プライバシーマークは、民間事業者が積極的に推進する自主的な個人情報保護の規制、努力にインセンティブを与えるための手段である。情報主体である個人は、プライバシーマークの有無によって民間事業者の個人情報の取り扱いが適切であることを判断することが可能となる。
●  多岐にわたる認定基準
  プライバシーマークの認定基準は多岐にわたるが、その例を示してみよう。
【プライバシーマーク認定基準(例)】
  • JISQ15001または業界ガイドラインに準じた実践順守計画を定めていること
  • 実践順守計画に基づいて個人情報の管理が適切に実施されていること
  • 個人情報を適切に取り扱う体制が整備されていること
  • 個人情報の管理者が指名されていること
  • 企業外部への個人情報の提供、取扱いの委託を行う際には、責任分担や守秘に係る契約を締結する等、個人情報について適切な保護が講じられるよう措置されていること
  • 年1回以上、個人情報の機密保持に係る周知徹底の措置を講じていること
  • 年1回以上、事業者内部の個人情報の保護の状況を監査すること
  • 個人情報保護に関する相談窓口が常設されていること
  認定を受けたマークの使用有効期限は2年間。以降は2年ごとに更新手続きを行わなければならない。個人情報の不適切な取り扱いを行った民間事業者に対しては、プライバシーマーク制度委員会の審議に基づいて改善の勧告やプライバシーマークの取り消しを行う。
●  個人情報保護法施行前の“駆け込み”も?
  認定事業者数は、図表に示すように2001年度までは緩やかな増加であったが、2002年度に前年を大きく上回る伸びを見せている。これは、個人情報の紛失・流出などの事故が頻発し個人情報保護に関する関心が高まったことが理由と考えられている。
  さらに2003年5月に「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」が制定・公布され、今年4月1日から全面施行された。これを見越して、2004年度は2003年度の倍近い数の事業所が認定されている。
  認定事業者を業種別にみると、アウトソーサーとしての情報処理サービス業や印刷業が多くを占め、両者を合わせて67%を占めている。これらの後には労働者派遣業、マーケティングリサーチ業、学習塾などが続くが、そのほかの業種へも広がりを見せており、現在では56の業種に及んでいる。
【認定事業者数の推移】
【認定事業者数の推移】
データ出所:財団法人日本情報処理開発協会 プライバシーマーク事務局
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.06.20
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