>  今週のトピックス >  No.1056
ゴルフ会員権損益通算廃止か?
〜政府税制調査会が検討開始〜
●  ゴルフ会員権の売却損益を分離課税?
  政府税制調査会(首相の諮問機関)の検討事項として、いわゆるゴルフ会員権を使った節税対策が取り上げられている。
  現行法ではゴルフ会員権の売買損益などを給与など他の所得と相殺(損益通算)できるが、政府税調としては、今後は分離して課税する方向で検討するという。もし、実現することになれば、ゴルフ会員権の売却損を他の所得などと相殺(損益通算)して所得税や住民税額を圧縮する仕組みは廃止されることになる。
  すでに土地や株式の譲渡益は、他の所得とは分離して課税しているため、その整合性をとる見地から、資産の譲渡で生じる利益への課税方法を統一する狙いがあるようだ。
●  現行法上での取り扱い
  現行の税法上では、ゴルフ場の会員権を売って売却価額から取得費や手数料などを差し引いて損失(赤字)が出た場合、給与など他の所得(黒字)と相殺でき、翌年に支払う個人住民税も減らすことができる。これをいわゆる損益通算という。
  ちなみに利益が出た場合の取り扱いは、ゴルフ会員権の取得形態にかかわらず、いずれも譲渡所得として事業所得、給与所得等と合算し総合所得として課税の対象になる。
  個人の場合の具体的な税額計算は、所有期間が5年以下と5年超で異なる。所有期間5年以下の場合は、譲渡収入金額から取得費と譲渡費用、さらには特別控除額50万円を控除し、残りが課税対象となる。所有期間5年超の場合では、譲渡収入金額から取得費と譲渡費用さらには特別控除額50万円を控除し、その半分が課税対象となる。
  つまりゴルフ会員権を譲渡して譲渡益が発生する場合には、5年超所有してから譲渡するほうが、税務上は有利となる。
●  プレーしない会員権は対策を
  バブルの象徴の1つであるゴルフ会員権。有名ゴルフ場のものであれば、数千万円で売買されることも日常茶飯事であった。しかし、バブル崩壊後は、土地と同じく大幅に下落してしまった。ここ1、2年でこそ少し落ち着いてきたものの、5年以上前に購入されたゴルフ会員権のほとんどは、軒並み含み損を抱えているであろう。
  今回のニュースは、あくまで政府税調が検討に入ったということなので、もちろん決定事項ではない。しかし、先の不動産税制の改正を考えると、ゴルフ会員権における税制改正も時間の問題であろう。
  含み損を抱えているゴルフ会員権を持っているものの実際はほとんどプレーしていないという方、今年中にどうにかすることを考えられてはいかがだろうか?
  特に中小企業経営者の方なら、日頃の経営手腕を活かして、色々と手立ても考えられるはずです。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.06.27
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