>  今週のトピックス >  No.1059
「情報源はネット」「自分が大事」「挫折感もちょっぴり」
〜現代若者“就活”事情〜
●  ネットで探すイマドキの“就活”
  今年の新入社員(大卒、高卒)は、どのように就職先を選び、決定したか――いまどきの就職活動の実態に関する調査結果が発表された。
  まず、就職先を選択するための情報源としては、(1)会社説明会(80.2%が利用)、(2)インターネットの企業ホームページ(79.1%)、(3)インターネットの就職関連サイト(74.5%)、(4)企業が用意した採用案内パンフレット(73.8%)――となっており、大部分の学生にとってインターネットが不可欠な情報源になっていることがわかる。ちなみに、これに続く情報源は、学校への求人票(58.0%)、就職情報誌(44.1%)、一般書籍(33.2%)となっている。
  大学卒の新入社員に限れば、企業ホームページが93.5%、就職関連サイトが96.3%を占め、大学生のほとんどが就職活動においてインターネットを情報源にしている現実が浮き彫りになっている。
●  “自己の成長”で会社を選ぶ
  就職先企業を選んだ理由は、多い順に(1)自己の能力や個性が活かせる(31.3%)、(2)仕事がおもしろい(21.0%)、(3)技術が覚えられる(12.8%)――と、自分自身の仕事へのやりがいが選択理由の上位を占めている。
  一方、「経営者に魅力を感じるから」(4.5%)、「一流会社だから」(4.2%)など、会社自体の知名度や経営者の資質を選択理由にする回答は意外に少ない。これは、終身雇用の慣行が弱まってきていることを受けて、代わりに自分自身のエンプロイアビリティの獲得を重視する志向が強まっていることをあらわしている。
  この傾向は、次の就労意識に関する質問への回答でも如実だ。(1)仕事を通じて人間関係を拡げたい(95.2%)、(2)社会や人から感謝される仕事がしたい(93.1%)、(3)どこでも通用する専門技能を身につけたい(93.0%)、(4)これからは終身雇用ではないので会社に甘える生活はできない(86.5%)、(5)高い役職につくために少々の苦労はしても頑張る(79.7%)、(6)仕事を生きがいとしたい(72.5%)――。いずれも仕事にやりがいを見出し、自己成長の糧としたいという気持ちの表れである。
●  5人に1人が挫折経験?
  対照的だが、(9)いずれリストラされるのではないか(38.7%)、(12)いずれ倒産したり破たんするのではないか(22.0%)など、将来に対する不安を感じている層も存在はするが、割合としては少なく、全体的には比較的前向きであるようだ。
  就職活動を振り返って、自分を勝ち組と思うか、という設問には、77.1%が自らを勝ち組と答えている。しかし負け組みとする回答も四大卒で22.1%あり、5人に1人は就職時の挫折感を引きずった新入社員である。新入社員が挫折感を抱いているという事実は、受け入れる会社側としても十分に留意しておくべきである。
出所:財団法人社会経済生産性本部「平成17年度新入社員『働くことの意識』調査結果」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.07.04
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