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株主総会“狂騒曲”、今年は分散開催進む
〜安定株主確保へあの手この手〜
●  6月29日開催は6割にとどまる
  3月期の株主総会が6月末にピークを迎えた。今年の集中日は6月29日だったが、集中の度合いは過去最低水準の6割程度にとどまった。開催日を分散化して株主が参加しやすいよう配慮する企業も増えている。
  背景にあるのは、個人株主の増加とそれを取り込みたい企業の思惑だ。金融機関との株式持ち合いが減り、敵対的買収を防ぐためには安定株主の囲い込みが急務だからだ。映画の上映やコンサートなど総会を魅力的な催しに変えようとする企業も増えている。
  株主総会は会社の意思を決定する最高機関。株主は持ち株に応じて、株主総会で議決権を行使し経営に参加する。決算期ごとに定期的に開催する定時株主総会と、必要があるときに臨時に開催する臨時株主総会があり、主な決議事項には定款の変更や、取締役の選任などがある。
●  “物言う株主”の台頭
  シャンシャン総会に象徴されるように、これまでは総会を短時間で終わらせる傾向が強く、株主総会の形骸化が指摘されていた。経営に口を挟まない金融機関が大株主でいる間はそれでもよかったが、バブル崩壊後の株価下落で深手を負った銀行などが保有株式の売却に動いた。代わって台頭してきたのが、企業に敵対的買収を仕掛けたり、余剰資金の還元を迫ったりするファンドなどの「物言う株主」だ。
  その代表格がユシロ化学工業やソトーに敵対的株式公開買い付け(TOB)を仕掛けた米投資ファンド、スティール・パートナーズと旧通産省OBの村上世彰氏が率いる「村上ファンド」だ。スティールは現預金が企業規模に比べて多い割に株価が低迷している企業を対象に投資し、経営陣に改革を迫る。村上ファンドは配当余力の大きそうな銘柄を適切に選択、実際に大量の株式を取得したうえで企業側に圧力をかけ、増配などを引き出す。意に沿わなければ株主総会に増配議案を提出する。
●  “将来の株主”にラブコールも
  こうしたファンドを敵に回さないためには、収益を上げると同時に、投資家層に会社をアピールし、株式を買ってもらうことが重要だ。安定株主が増えれば、株価は高水準で安定し、短期的な利益獲得を目的とする投資ファンドが市場で買える株式も減る。その結果、経営も安定する。
  そこで企業は株主総会を集中日からずらしたり、日曜日に開催したりして多数の株主に参加してもらい、より多くの株を買ってもらおうと総会に工夫を凝らすようになってきたのだ。
  ある映画会社は、総会終了後に新作映画を劇場公開に先立って上映。音楽ソフト会社の総会には所属の人気アーティストが登場し、コンサートを催した。総会後に日本経済や株式投資の現状に関するセミナーを開くところもある。中には、将来の株主にアピールしようと高校生を招待する企業も出てきたほどだ。
2005.07.04
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