>  今週のトピックス >  No.1063
攻めの採用にシフト
〜高まる企業の正社員採用意欲〜
●  急伸する正社員の採用予定数
  企業の採用意欲と求める人材像に関する調査の結果が厚生労働省より発表された。
  それによると、2006年3月までの期間に新規学卒以外での採用予定数は、179万人であり、前年調査の155万人と比べ大幅に増加する見通しであることが明らかになった。採用形態では、正社員での採用が前年調査の61万人から78万人と全体の増加部分の半分以上を占めている。
  また、パートタイマーやアルバイトの採用予定は前年調査の55万人から53万人へと減少しているものの、フルタイムの契約社員・嘱託社員は24万人から30万人へと増加している。
  これは、企業が守りの採用から攻めの採用へ完全にシフトしていることを物語っている。正社員採用予定数78万人の産業別内訳では、建設業が12万人、製造業15万人に対し、卸・小売業が20万人、サービス業が9万人、運輸業が7万人と、第3次産業全体で50万人と、採用の大部分を占めている。
  採用する職種別では、正社員78万人のうち、営業職が14万人と最も多く、運輸職6万人と続き、やはり攻めの採用へのシフトが鮮明になっている。
●  経験のある即戦力を希望
  正社員の採用にあたり、採用をする理由は、(1)即戦力の確保(38.8%)、(2)欠員の補充(25.2%)、(3)既存事業の拡大(21.5%)、と回答されている。望まれる能力レベルは、(1)即戦力となるレベル(62.6%)、(2)半年から1年で使えるレベル(27.1%)、であり、ただちに事業規模を拡大したいと望む企業の採用意図が明らかである。
  また、実務経験の有無についても、「実務経験が必要」とする回答は28.4%、「あれば望ましい」が50.4%で、「不要」の16.1%を大きく上回っている。最低限必要な実務経験の年数についても、「2年以下」は19.5%にとどまり、「3〜4年」が30.6%、「5年以上」が25.3%と当該実務のプロを求めていることが分かる。
  採用したい年齢層は、20歳代が70.9%、30歳代が54.3%と高いが、40歳代が22.9%、50歳代が9.8%と少なく、20〜30歳代が望まれている。
  こうしたデータもやはり、企業が即戦力を求めていることの裏付けである。
●  パート・アルバイト、派遣の活用範囲が明確に
  一方、非正社員の採用意欲については、短時間勤務のパートタイマーやアルバイトは前年比減少したものの、卸・小売業、飲食店・宿泊業でそれぞれ17万人ずつ、サービス業で5万人と相変わらず第3次産業においては貴重なマンパワーである。また、派遣労働者は9.8万人であり、前年の6.9万人から大きく伸びている。そのうち3.9万人が製造業である。
  即戦力となる正社員の採用を拡大し、攻めに転じている一方、非正社員の活用範囲も明らかであり、企業の人材配置の使い分けが明確になっていることが分かる。
出所:厚生労働省「平成16年度企業が求める人材の能力等に関する調査結果」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.07.11
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