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「財政改革の柱は消費税で」
〜与党・財政改革研究会が提起〜
●  消費税めぐる動きが活発化
  「増収策として消費税を中心とすることが適当ではないか」
  「(消費税の)税率引き上げに国民の理解を得るため、福祉目的税化をより明確にすることはどうか」
  ――これはさる7月6日、自民党の財政改革研究会(座長・柳沢伯夫政調会長代理)が、9月の中間とりまとめに向けた議論の中で論点整理をし、了承を受けた提案内容である。つまり、今後の単年度プライマリーバランスの均衡を目指した財政改革の柱に、消費税を据えようということである。
  また、財政再建の枠組みに関しては、「歳出削減と増税による補てんの分担率を設定すべきである」と提案し、「中長期的な目標年次及び目標削減額を設定することは可能か」と問題提起をした。
●  消費税の歴史
  ここで、日本における消費税の歴史を確認しておきたい。
  消費税は、1988年に創設された。その前の1986年第3次中曽根内閣時に売上税として審議されたものの、廃案になったという経緯もあった。
  具体的な実施は1989年4月1日からで、税率は3%。そして1994年の細川内閣で、税率を7%とする国民福祉税構想が政府内であがったが、世論の批判を浴び白紙撤回された。その後も消費税率引き上げの動きは政府内で収まることはなく、ついに1997年4月1日、橋本内閣時に、3%から5%(地方消費税1%分を含む)に税率の引き上げが行われた。背景には少子・高齢化の進展を危惧するという側面もあった。
  また、上記以外にも消費税制度の内容の変更として、1991年、1994年、2003年の税制改正時は、申告納付回数の見直しや中小事業者に対する特例措置の是正、消費税の総額表示などが行われている。
  日本に導入されてから16年。消費税は、今や様々な税収の中でも特に重要な税収源となっている。その税収総額は所得税、法人税に次ぐ規模で、国税収入全体の約2割を占めるまでに達した。
●  消費税の今後は?
  今後の方向性としては、財政改革研究会に限らず、政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)や経済界も、今後の少子高齢化や福祉政策を考えると、消費税増税が妥当としている。これについては賛否両論あろうが、現実問題として消費税増税の流れは変わらないのではないかと思われる。
  ただ、その増税時にも、単に税率を一律に引き上げるだけではなく、社会には様々な立場の方がいるということを考慮に入れていただきたい。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.07.19
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