>  今週のトピックス >  No.1072
IT投資促進税制の活用を
〜適用期限は来年3月31日まで〜
●  IT投資促進税制とは何か
  IT投資促進税制とは、企業が一定のIT関連の設備投資等を行って事業の用に供した場合、あるいはリース契約により賃借して事業の用に供した場合に、そのIT関連(例えばパソコン)の取得価額の10%の税額控除、あるいは、その取得価額の50%の特別償却(リースの場合には、リース総額の60%について10%の税額控除)を選択により適用できるという制度である。
  例えば、資本金3億円以下の中小企業が、パソコン30万円を5台購入した場合、上記の税額控除を採用すると、
30万円×5台×10%=15万円
が税額控除されることとなる。(ただし法人税額の20%が上限)
  つまり、15万円分は税金を支払わなくてよいということになるので、IT投資促進税制に該当する場合は、申告時に忘れないようにすることが大切になってくる。
  また、このIT投資促進税制の対象者は、すべての青色申告事業者となっている。そのため法人企業はもちろんのこと、個人事業者も青色申告事業者であれば対象となる。
●  IT投資の対象となる設備
  ここで気になるのが、対象となるIT投資とはどういったものであるのかということ。一般的には、「パソコン、サーバ、デジタル複写機、ファクス、ソフトウエアなど」が該当するのだが、厳密に見ていくと、「電子計算機、デジタル複写機、ファクシミリ、ICカード利用設備、デジタル放送受信設備、インターネット電話設備、ルーター・スイッチ、デジタル回線接続装置、ソフトウエア」となっている。
  ちなみに、上記をリースした場合も該当するので、忘れないでほしい。例えば、コピー機のリースなども対象となるということである。
●  適用対象となる金額のライン
  IT投資促進税制は、節税効果が高いこともあって、あまりに少額のIT投資は対象としてない。具体的に見ていこう。
【購入の場合】
(1)ソフトウエア以外
合計取得価額が140万円以上(資本金3億円超の法人は600万円以上
(2)ソフトウエア
合計取得価額が70万円以上(資本金3億円超の法人は600万円以上
【リースの場合(資本金3億円超の場合は適用対象外)】
(1)ソフトウエア以外
リース費用の総額の合計額が200万円以上
(2)ソフトウエア
リース費用の総額の合計額が100万円以上
(注)リース期間:4年以上でかつ法定耐用年数を超えないこと
●  2つの計算方法を選べる
  では具体的に、IT投資促進税制の対象となる法人で対象となるIT投資を行った場合に、どういった計算で節税を図れるのか。それは、次の2つの計算方法のどちらか有利なほうを選択することになる。
【特別償却】
特別償却限度額:取得価額の50%相当額
これは、減価償却費という経費が多額に計上されることにより当期において節税となる。ただし、翌期以降の減価償却費が減るので注意が必要である。
【税額控除】
税額控除限度額:当期の法人税額の20%相当額を限度
(1)購入の場合:取得価額×10%
(2)リースの場合:リース費用総額×60%×10%
  ちなみに、このIT投資促進税制は、平成15年1月1日から平成18年3月31日までに取得し事業の用に供したものについて適用されることになっているので、期限をお忘れなきよう注意してほしい。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.07.25
前のページにもどる
ページトップへ