>  今週のトピックス >  No.1076
政府税調が専業主婦を痛烈批判
〜配偶者控除めぐり過激発言〜
●  基礎問題小委員会で飛び出したある発言
  首相の諮問機関のひとつに政府税制調査会(以下、政府税調)がある。一橋大学前学長である石弘光氏が会長を務めている諮問機関だ。その政府税調の中には「基礎問題小委員会」というのがあり、ここのトップも石弘光氏である。何を隠そう、この「基礎問題小委員会」こそ、先般政府税調が発表した「サラリーマン増税」と揶揄(やゆ)される報告内容を審議している組織なのである。
  同委員会は、エコノミストや税理士、学識経験者など、女性3人を含む計26人の委員で構成され、委員会での発言内容はホームページなどを通じて公表されている。議論の公開は政治への透明性を求める動きに対応したもので、政府税調の事務局である財務省の言葉を借りると、「議事録を公開することで、税制改正論議の透明性を高めている」ということになる。
  しかし今回、この制度があだとなって、議事録に掲載されているある発言が大きな波紋を広げている。
●  偏見か正論か―配偶者控除存廃で論議加熱
  専業主婦の妻がいると夫の税金が低くなる配偶者控除という制度があるが、その配偶者控除の存廃論議において、以下のような発言が飛び出したのである。
  「働く女の人は(人生に)前向きで、子供を産みたいわけ。働かないで家でごろごろしている主婦が、子供を今産まないんです。」
  「今、パラサイト・ワイフというのができてきた。つまり、変な生命力のない人たちがたくさん生じていて、お金を持ってぶらぶらしているんですよ。」
  ――これは、先ほどの政府税調の中にある基礎問題小委員会でのある委員の発言である。また、別の委員はこんな発言をした、と議事録に記載されている。
  「働いている女性のほうがちゃんとご飯をつくるというデータもあるんです。専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきた発泡スチロールで食べさせちゃうというのが多いんです。」
  明らかに偏った見方であることは言うまでもない。
  配偶者控除の是非はともかくとしても、専業主婦の実態を知らない、配慮を欠いた発言や認識をもった委員が、日本のこれからの税制を審議していると思うと、何ともやるせない気持ちでいっぱいだ。
出所:税制調査会第37回基礎問題小委員会(17.5.27)議事録
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.08.01
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