>  今週のトピックス >  No.1078
株式投信の運用残高がバブル期並み高水準に
●  株への投資盛んに
  預貯金から株式投資へ――。個人の資金運用方法のシフトが鮮明になっている。投資信託協会がまとめた2005年6月末の株式投信の運用残高は約32兆円となり、バブル期の1990年前後に迫る高水準となった。低金利や投信の銀行窓口販売解禁を背景に、株式投資信託に個人の資金が向かっていることを裏付ける数字だ。
  投資信託は投資家から集めた小口資金をまとめてファンドマネジャーが運用する。複数の株式や債券に投資するため、特定銘柄を購入するよりもリスクが低いのが特徴である。今年6月の投資信託の運用残高増加額は約1兆8,000億円と単月では14年ぶりの高水準を記録した。解約などを差し引いた資金の純流入額が約1兆1,000億円に上ったほか、運用による増加分も7,000億円ほどあった。
●  銀行窓販解禁が後押し
  株式投信の運用残高は、1989年に45兆円まで伸びた後、株価低迷で1997年にはピーク時の約2割の規模にまで縮小した。そこから反転して残高が膨らんだ背景には、1998年から始まった投信の銀行窓販解禁がある。2001年12月に23%だった銀行窓口での株式投信の販売比率は、今年6月に49%と証券会社の50%に迫るシェアを占めるまでになった。10月からは全国の郵便局の窓口で国内株への投資を中心とした投信の販売が始まるため、残高の増加は今後も続きそうだ。
●  背景には株価上昇や超低金利も
  投信の残高が増加している要因はほかにもある。日本企業の業績回復を受け、株価が上昇していることがその一つ。2003年に7,000円台まで落ち込んだ株価は現在1万1,800円前後まで回復した。資源高などのリスクはあるものの、企業の業績は堅調に推移しており、株価が暴落する可能性は低い。
  その上で超低金利が続いている。ペイオフが今年4月に全面解禁したこともあり、定期預金などから株式投信へ移る資金は着実に増えているようだ。
  さらに、ネットを通じて株式の売買を行う若い投資家が増えるなど、個人投資家の年齢層が広がっていることも背景にある。
  ただ、株式投信は元本割れのリスクもあり、投資には注意が必要だ。
2005.08.01
前のページにもどる
ページトップへ