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入職者と離職者の差縮まる―厚生労働省「雇用動向調査」
●  雇用状況は改善傾向
  厚生労働省が2004年の入職者と離職者の移動状況の調査を行った。前年以前と比較して、入職者と離職者の差は縮まり、雇用状況の改善が伺われる。
  この調査では、入職者とは新卒、転職、出向などで新しい職場に採用された者、離職者とは退職者、解雇者、出向転出者をいう。図表のように、ここ7年ほどは離職者が入職者を上回る状況が続いていたが、2004年には入職者が673万人、離職者が685万人となり、入職率と離職率がほぼ拮抗し、1996年以来8年ぶりに雇用状況が改善された。
  入職者の内訳は、転職者434万人(パートタイム144万人、パートタイム以外の採用290万人)、未就業入職者239万人、である。未就業者には学卒者だけでなく、ここ1年以上働いていなかった者も未就業に含まれ、その割合は学卒者が85万人、それ以外の者が154万人となっている。学卒入職者85万人のうち、17万人はパートタイムである。
●  50歳代は経営上の理由で離職
  離職者685万人の離職理由をみると、「個人的理由」が70.4%と最も多い。次に「契約期間の満了」13.1%、「経営上の都合」8.1%と続く。離職理由は年齢階級による違いが大きく、例えば個人的理由による離職は20歳代前半では86.1%を占めているのに対し、50歳代前半では62.5%にとどまっている。逆に経営上の理由による離職は、30歳代後半が7.5%であるの対して、40歳代前半では13.4%、40歳代後半は13.7%、50歳代前半になると19.1%、50歳代後半では19.3%、と急増しており、40歳代以降が会社の都合での退職を求められている実態が分かる。
  入職者、離職者を企業規模に見ると、1,000人以上の企業では入職率・離職率とも15.4%と均衡している。一方、300〜999人規模の企業では0.4ポイント、100〜299人規模の企業では0.3ポイントそれぞれ入職率が離職率を上回っているのに対し、30〜99人規模の企業では0.7ポイント、29人以下の企業では0.9ポイントそれぞれ離職率が入職者を上回っている。
【入職率・離職率の推移】
【入職率・離職率の推移】
出所:厚生労働省「平成16年雇用動向調査結果の概況」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.08.08
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