> 今週のトピックス > No.1086 |
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拡大続ける不動産投信市場と路線価の関係 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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〜不動産価格2極化のメカニズム〜 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() ● 13年ぶりに路線価が上昇
国税庁からさる8月1日に公表された今年1月1日時点の路線価がいま注目を集めている。それは、平均価格としては1992年以降13年連続で下落したものの、東京都は0.4%(13年ぶり)の上昇となったからである。また、特に<表1>にあるように全国の主要都市の最高地価も局地的ながら上昇となっている。
![]() <表1>
![]() ※上記データの詳細は、国税庁の路線価に関するホームページで閲覧できます。
http://www.nta.go.jp/category/rosenka/rosenka.htm
![]() ● 新段階に突入した路線価
今回の路線価の発表で、1992年以降から下落してきた路線価は新たな段階に入ったことが鮮明になったといえる。
第一段階を、戦後から高度経済成長期時代を経てバブル崩壊までのように、不動産右肩上がりの時代とするならば、第二段階は、バブル崩壊以降2004年度までの、不動産右肩下がりの時代であり、そして、第3段階がこれからの不動産2極化時代である。 東京の一等地では路線価が上昇していく傾向である一方で、千葉県、埼玉県などの東京都周辺都市の路線価が依然として下落傾向にあることが2極化傾向の代表例といえよう。今後は、立地条件などによってより価値の2極化傾向が強まると思われる。 ![]() ● 路線価2極化への転換要因
路線価ひいては不動産価格について、右肩下がり傾向を2極化へと転換させたものは何であろうか。
それは、低金利時代と株価下落という2つの要因で行き場を失った個人投資マネーと、運用難に苦しむ機関投資家の投資マネーという、2つの投資マネーの姿が見えてくる。この2つの投資マネーが不動産投資信託という1990年代には存在しなかった金融商品により、一気に不動産市場へ流れ込んでいるというわけである。 <表2>のように、不動産投信の市場規模は、最近急速に拡大傾向を辿っていることが一目瞭然であろう。また、2001年に初めて不動産投信として上場した2ファンド(「日本ビルファンド投資法人」と「ジャパンリアルエステイト投資法人」)をはじめ、発売当初はオフィスのみを投資対象としていた不動産投信がほとんどであったが、オフィス物件への集中や供給過剰感により、最近は商業施設や住宅へ投資する商品が急速に残高を伸ばしていることも注目すべき傾向である。 ![]() <表2>
![]() ● 優良不動産への投資資金集中が2極化の要因
では、不動産投信の残高が増加することで、なぜ不動産の2極化が進むのか。それは、不動産投信の特徴である「物件への投資は専門家が行う」という点が大きく関係してくる。
つまり、専門家が投資を行うため、個人にくらべ一般的には不動産を見る目は確かであり、立地条件や将来性など総合的に判断し物件の選定を行うことでより高い収益を目指すことが考えられる。そうなれば、必然的に優良不動産へ投資資金が集中し、結果、優良不動産の価格上昇がもたらされる。その傾向は優良物件の多い東京から始まり、横浜・名古屋・大阪・福岡など地方の大都市へ波及していくことが考えられる。 一方で、それ以外の地方都市などの物件は、あまりこのような投資資金が集中するという事態は考えにくいので、今後も右肩下がりとなる可能性も十分ある。つまり、この運用資金が優良物件に集中することで、不動産価格の2極化が生み出だされるということにつながるのである。 ![]() 今後も低金利が継続し、不動産投信の設定が相次いで行われる状況が続けば、必然的に不動産投信へさらに投資資金が流れ込み、不動産価格の一層の2極化をもたらす可能性は十分考えられる。
![]() ※不動産投信の純資産残高や分配金情報に興味がある方は、以下のホームページが参考になります。
投信協会の不動産投信関連ホームページ(http://www.toushin.or.jp/cgi-bin/framed.cgi?28)
![]() 当記事は、あくまで筆者の見解や予想、考え方をご紹介したものであり、個別商品の売買の推奨を意図したものではありません。
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2005.08.15 |
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